南青山の児童相談所問題 賛成区民の思いは…「わが子の幸せも、周りの子が幸せであってこそ」
「ブランドイメージを理由に反対」なんて、子どもに言えない
通称「青山通り」や「骨董(こっとう)通り」から一本入った、店舗やカフェが並ぶ一角にある広大な空き地。港区が2021年4月の開設を目指す「子ども家庭総合支援センター(仮称)」の予定地だ。
昨年12月14、15日に赤坂区民センターであった住民説明会には計約300人が参加。質疑応答で「なぜ南青山なのか納得できない」と声が上がった。15日は、3人の子どもを育てる女性が「意識の高い公立小学校に子どもを入れるため、億を超える投資をして家を建てた。南青山はお金を稼いで住むべき土地。ブランドイメージを守ってほしい」と述べると、会場から拍手が上がった。
男性が参加したのは14日。「将来、子どもが大きくなった時に、ブランドイメージ低下との理由で反対したなんて説明できない」と訴えた。児童虐待には詳しくないが、子どもが生まれて意識が変わった。
目黒の虐待死にショック 「児相への賛成意見も伝えなきゃ」
その思いを強くしたのが、昨年3月に発覚した東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=虐待死事件。ショックを受け、現場のアパートへ足を運んだ。向かいにはマンションがあり、小学校も近く、子どもの歩く姿が多く見られた。「なぜ守れなかったのか」と思いが巡り、2時間ほど現場を離れられなかった。
何もできない現実に無力感を覚える中、港区の児相整備計画を知った。「児相ができればすべて解決するわけではないが協力したい」。昨年10月の住民説明会を報道で知り、反対住民の意見に衝撃を受けた。「賛成意見も伝えなければ」。男性は南青山在住ではないが、一区民として12月の説明会に参加した。
近所・学校・行政…それぞれの目で子どもを守ろう
千葉県野田市でも女児が死亡する事件が起き、児相や学校の対応が問題視されている。「近所の目だけではなく、学校や行政などそれぞれの役割が目となって子どもを守らないといけない」と社会全体が変わる必要があると思っている。
児相は児童福祉法改正により特別区も設置できるようになり、東京23区では練馬区以外が建設を検討している。港区は1月末に発表した新年度予算案に建設費など6億6700万円を計上。予算案が成立すれば8月には着工する予定。区は建設についての住民説明会を今月中にも開く。
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