南青山の児童相談所問題 賛成区民の思いは…「わが子の幸せも、周りの子が幸せであってこそ」

山田祐一郎 (2019年2月5日付 東京新聞朝刊)
 「南青山のブランドイメージを損なう」と一部の住民が反対している東京都港区南青山の児童相談所建設計画。区の説明会では反対する意見が多い中、区内在住で2歳の男児を持つ父親(38)は児相設置を求める声を上げた。「自分の子どもの幸せも、周りの子どもが幸せであってこそ」。今後も説明会の場などで意見を述べていくつもりだ。

「ブランドイメージを理由に反対」なんて、子どもに言えない

 通称「青山通り」や「骨董(こっとう)通り」から一本入った、店舗やカフェが並ぶ一角にある広大な空き地。港区が2021年4月の開設を目指す「子ども家庭総合支援センター(仮称)」の予定地だ。

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「子ども家庭総合支援センター(仮称)」の建設予定地

 昨年12月14、15日に赤坂区民センターであった住民説明会には計約300人が参加。質疑応答で「なぜ南青山なのか納得できない」と声が上がった。15日は、3人の子どもを育てる女性が「意識の高い公立小学校に子どもを入れるため、億を超える投資をして家を建てた。南青山はお金を稼いで住むべき土地。ブランドイメージを守ってほしい」と述べると、会場から拍手が上がった。

 男性が参加したのは14日。「将来、子どもが大きくなった時に、ブランドイメージ低下との理由で反対したなんて説明できない」と訴えた。児童虐待には詳しくないが、子どもが生まれて意識が変わった。

目黒の虐待死にショック 「児相への賛成意見も伝えなきゃ」

 その思いを強くしたのが、昨年3月に発覚した東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=虐待死事件。ショックを受け、現場のアパートへ足を運んだ。向かいにはマンションがあり、小学校も近く、子どもの歩く姿が多く見られた。「なぜ守れなかったのか」と思いが巡り、2時間ほど現場を離れられなかった。

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目黒区の女児が虐待を受けていたアパートの前に供えられた花束=2018年6月

 何もできない現実に無力感を覚える中、港区の児相整備計画を知った。「児相ができればすべて解決するわけではないが協力したい」。昨年10月の住民説明会を報道で知り、反対住民の意見に衝撃を受けた。「賛成意見も伝えなければ」。男性は南青山在住ではないが、一区民として12月の説明会に参加した。

近所・学校・行政…それぞれの目で子どもを守ろう

 千葉県野田市でも女児が死亡する事件が起き、児相や学校の対応が問題視されている。「近所の目だけではなく、学校や行政などそれぞれの役割が目となって子どもを守らないといけない」と社会全体が変わる必要があると思っている。

 児相は児童福祉法改正により特別区も設置できるようになり、東京23区では練馬区以外が建設を検討している。港区は1月末に発表した新年度予算案に建設費など6億6700万円を計上。予算案が成立すれば8月には着工する予定。区は建設についての住民説明会を今月中にも開く。

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  • 匿名 says:

    中途半端な成金が反対してるイメージ。

      
  • 匿名 says:

    ブランドイメージを損なうなんて、ちゃんちゃらおかしい。「青山」はもともと漢語で「せいざん」といい、墓場の意味。自分さえ良ければいいという鬼のような人間がいる所に児童相談所はふさわしくない。子供がかわいそうだ。火葬場を建てるのが一番ぴったりだ。

      
  • 匿名 says:

    どうしても反対せざる得ない理由はありますよね?優しく親切に手を差し伸べたとしても結局は中途半端になるだけで救うことが難しい現実を知ってるからです。
    弱者を救うと決めたからには負から脱出出来るように責任が問われます。途中で見捨てたら結果的に弱者を余計傷つけることになります。

      
  • 匿名 says:

    本当に裕福な方ならむしろ子供達の為に寄付するべきだと思います。
    私も独身の港区住民ですが近所の子供達の笑顔を見て幸せに思いますし、一部の子供だけが優秀に育てば良いと言う考えはその子供達の未来の世界をただただ小さくしているだけだと思います。

      
  • 匿名 says:

    今日説明会で発言をしてきた者です。青山は明治維新からの150年、歴史的には文教と軍隊の街でした。戦後には、引き揚げ住宅もありました。復興につれ、そのような軍事施設は公営住宅や母子寮といった福祉型の施設に変わっていきました。戦争に関わる街から、生きている人向けの街へと転換した訳です。ファッションの街、青山ブランドをつくりあげたのは、青山以外の人によるものです。
    祖父母の代から70年、私自身も20年間青山で子育てをしてきました。子どもが生まれ18歳迄が児童福祉法の対象ですが、自立を支えるために年齢が22際未満と法律も変えられている状況で、児童相談所のある青山でどの親子も孤立しない子育てができるというのは、素晴らしい環境ではありませんか。これからは、在住の長い短いに関わらず、子育てのしやすい街を一緒につくっていきませんか。

      
  • 匿名 says:

    文京区の下町に住んでいますが、昔は父親たちが縁台将棋をしながら、自然に子供たちを見守っていたのだろうなと思い起しました。
    今よりお隣との距離が近かったのは確かです。

      
  • 匿名 says:

    人が人を助ける事の何がいけないのか? 大切な事を忘れてしまってる人間が増えましたね

      

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