3点シュートで子どもたちに笑顔を B1川崎・辻選手、長期入院の子らに寄付 「篠山シート」もスタート

石川修巳 (2019年10月30日付 東京新聞朝刊)
 男子プロバスケットボールB1、川崎ブレイブサンダースの辻直人選手(30)が今季、3点シュートを1本決めるごとに、3333円を寄付する活動を始めた。バスケットボール用品や試合観戦に使えるモニターなどの購入に充て、病院や児童養護施設に贈る。きっかけは、病気と闘う少年の両親から届いた「ある願い」だった。

3点シュート1本ごとに、3333円を積み立てる活動を始めた辻直人選手(川崎ブレイブサンダース提供)

肩の手術から今季復帰 3点シュート1本成功=3333円

 辻選手は昨季、2度にわたり左肩を負傷。今年5月に手術を受け、全治5~6カ月とされながらも、10月3日の今季開幕戦のコートに立った。本人のツイッターにはスタッフや声援への感謝とともに「辻直人はここからです!」とつづった。

 もうひとつ、辻選手が今季新たに始めた挑戦があった。「スリーピース」と名づけた社会貢献だ。B1リーグ戦のうち、3点シュートの成功数に応じて寄付金を積み立て、今季終了後、長期入院している子どもたちのために役立てる。

昨シーズンはリーグトップ 目標達成なら50万円

 2017~18年シーズンには、B1トップとなる145本の3点シュートを決めた辻選手。負傷した昨季は77本にとどまり、再起を期する今季は自己最高の150本を目標に掲げた。達成すると、積立金は約50万円になる。

 今季はこれまで6試合に出場し、3点シュートの成功は3本。「1本でも多く決まり、子どもたちの笑顔が増えますように」「シュートを打って、打って、打ちまくって」。ファンからも激励が相次いでいる。

きっかけは脳の病気で闘病するハヤト君との交流

 きっかけは昨秋、脳の病気で闘病する長崎の少年ハヤト君を励ますために、両親からチームに寄せられたビデオメッセージの依頼だった。ハヤト君は辻選手のファン。ブレイブサンダースの試合観戦を目標に、投薬や放射線治療に耐えていたという。

 そして今年3月。福岡市であったライジングゼファー福岡との対戦に、ハヤト君の姿があった。「あのビデオメッセージがなければ、今どうなっていたか…」と両親に告げられ、辻選手は「その時、人の命を支えることができたという、初めての感情を抱いたことを今でも忘れません」と振り返る。

 僕のプレーが、子どもたちの生きる活力にもなれたら-。そんな願いを込めてコートへ。「また一つ、バスケットを続ける、頑張る理由ができました」

児童養護施設の子たちを招く「篠山シート」は11月10日から

「篠山シート」を始める篠山竜青選手(川崎ブレイブサンダース提供)

 川崎ブレイブサンダースの篠山竜青(りゅうせい)選手(31)は今季、とどろきアリーナ(川崎市中原区)のホームゲームのうち10試合程度を対象に、市内の児童養護施設の子どもたちを招待する「篠山シート」を新たに始める。初回は11月10日の三遠ネオフェニックス戦の予定という。

 篠山選手がチケットを購入し、今季は約100人を招待する。当日は篠山選手との記念撮影も。篠山選手は「この活動を通して、子どもたちの未来につながる良い影響が少しでもあれば、と願っています」とコメントしている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年10月30日