休校で「行き場がない」高校生や大学生にも居場所を 豊島のNPO「サンカクシャ」が運営費の寄付募る

( 2020年3月20日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルスの感染拡大で学校が休校になり、部活動が休止になる中、若者の社会参画に取り組むNPO法人「サンカクシャ」(東京都豊島区)が、高校生や大学生らの居場所「サンカクハウス」の運営日を普段の週2、3日から6日に増やしている。行き場を失った高校生らには好評だが、運営費が不足しており、「子どもたちの安全な居場所のために」と寄付を募る。 

サンカクシャのチラシを広げ、寄付を呼び掛ける木村さん=豊島区で

高2男子「ここは心も体も温かくなれる」

 17日午前、サンカクハウスに休校中の高校生が続々と集まってきた。絵を描いたり、スマホをいじったり、話したりと、皆が思い思いに過ごす。

 3年生の女子は進学先の大学の授業開始が4月下旬以降にずれ込み、「家にいてもすることがない」と話した。「ここがないと、どこかに出掛けて、すぐにお金を使ってしまう」

 2年生の男子も「家だと、テレビやゲームで一日を無駄に過ごしてしまう」と打ち明けた。「ここは心身共に温かくなれて、自分の存在意義も見いだせる」

感染防止に努めながら、3月末まで週6日

 感染防止のため、地域の学習支援活動や青少年向けの施設も休みに。バイト先から休むよう求められることもあり、「行き場がない」「家にいたくない」という声がサンカクシャに寄せられていた。

 そこで、週に2、3日、午前10時~午後8時に開放するサンカクハウスを、今月9日から週6日(月~土曜)に拡大した。今月末まで続ける。ハウス内での手洗いやうがい、マスク着用、換気も徹底し、イベントなどハウス外での事業は中止、延期にして感染防止に努める。

義務教育を終えた若者たちにも支援が必要

 事務局の木村遥香さん(30)は「特に義務教育を終えた若者への支援が不足しがち」と指摘する。「繁華街へ繰り出すと、感染リスクを高めるかもしれない。夜遊びも心配。人と食事をすることがなく、1日1食になる子もおり、孤立や孤食を防ぐにも居場所が必要です」と強調した。

 サンカクハウスでは昼食と夕食を無料で提供している。オープンの日を増やした分で、不足する食費や人件費は30万円ほどだという。

 サンカクシャのホームページで寄付ができる。問い合わせは、サンカクシャ=電話03(6905)8287=へ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年3月20日