子ども食堂もっと広がれ!NPOが開設ノウハウ本を出版
保健所への届け出? 助成金出す団体は? 具体的に紹介
本を出したNPO法人は、2013年の「あさやけ」を皮切りに、区内で4つの子ども食堂を運営する豊島子どもWAKUWAKUネットワーク。子ども食堂の開設方法を紹介する講座を開くとすぐ満席になり、全国から問い合わせや見学の依頼が舞い込むため、本にまとめた。
Q&A形式で開設のノウハウを紹介したほか、子ども食堂に助成金を出す団体のリスト、開設時に保健所への届け出が必要かなど手続きに関しても載せた。WAKUWAKUの理事らによる座談会も掲載し、自治体の事業委託を受けることの是非や、利用者が増えすぎて本当に食事が必要な子が入れないジレンマなどを語り合っている。
子どもが自由に遊べるプレーパーク(冒険遊び場)や、学童保育の預かり時間後に小学生らが過ごす「夜の児童館」など、WAKUWAKUが取り組む他の事業にも触れ、さまざまなアプローチで子どもの貧困問題を解決しようとする強い思いが伝わる。
人がつながる地域の居場所 ニーズくみ取り運営を
天野さんは「私たちはおせっかいだから、どこまででも踏み込んでやりたくなってしまう」と笑う。全国に約300以上あるとみられる子ども食堂は「人がつながる地域の居場所であり、子ども支援の入り口になる」と指摘する。「子ども食堂に決まった形はない。関わる人が、その地域のニーズをくみ取りながら運営してほしい」と促した。
本は四六判、196百ページ。1400円(税別)。amazonの商品ページはこちら。
「子ども食堂の輪」全国ツアーで普及後押し
NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークなどでつくる実行委員会は先月下旬、子ども食堂を全国に広げるために、各地で講演会やシンポジウムを開く「広がれ、こども食堂の輪!」と題した全国ツアーをスタートさせた。今後1年間で47都道府県での開催を目指し、運営ノウハウの共有や、関係者間のネットワークづくりを後押しする。
東京都新宿区で9月28日にあったキックオフイベントでは、WAKUWAKU理事長の栗林知絵子さん(49)が「子どもへの支援を考えるきっかけにしたい」と趣旨を説明した。超党派の国会議員でつくる「子どもの貧困対策推進議員連盟」のメンバーや、政府の担当者も出席した。
子ども食堂の運営者や支援者らによるパネルディスカッションもあり、各地の事例が報告された。
NPO法人ちばこどもおうえんだん(千葉県)理事長の湯浅美和子さんは、市営住宅の集会所やカフェでの実践例を挙げ、子ども食堂の運営者から「支援が必要な子どもをどう見つけたらいいのか」という相談があると紹介した。
子ども食堂の名付け親で「気まぐれ八百屋 だんだん」(大田区)の近藤博子さんは「(子ども食堂は)子ども自身の自己肯定感を高める場にもなっている」と強調した。