約束は「〇〇しない」より「〇〇しよう」 オーストラリア発の前向き子育てプログラムが虐待予防に効果

浅野有紀 (2023年6月30日付 東京新聞朝刊)

体ごと耳を傾ける聞き方を実践する参加者たち=さいたま市内で

さいたま市で保護者の体験会

 子どもへの虐待を予防するためにも保護者の心の手当てが必要だとして、理化学研究所(埼玉県和光市)は、困り事を抱える保護者に支援プログラムを提供した。その研究の有効性を広く子育て家庭に感じてもらおうと、今年、さいたま市内のマンションで体験会が開かれた。参加したのは、未就学児を育てる父母7人。オーストラリア発祥の「前向き子育てプログラム トリプルP」を体験してもらった。

自己解決力を促し、良い親子関係に

 このプログラムの普及を進めるNPO法人「トリプルPジャパン」理事の松岡かおりさんによると、子どもの自己解決力を促し、よりよい親子関係を育む効果があると実証されたプログラムだという。

 体験会では、松岡さんが「できるようになるまでしっかり褒める」「子どもが寄ってきたときこそいい関係をつくるチャンス」など、子どもが安心して過ごせる環境づくりを指南。参加者は親役と子ども役に分かれ、家事を一時やめて体ごと子どもの方を向き、話を受け止めることで子に与える安心感をロールプレイで体感した。

禁止より「すべきこと」をルールに

 続いて、しつけは「一貫して分かりやすいこと」を前提に子どもと話し合い、「○○しない」という禁止語を使わずに、すべきことを言語化したルールづくりを勧めた。一例として、「室内では走らない」ではなく「歩こう」と変換。ルールを守れなかった時は「つい『走っちゃダメと言ったでしょ』と注意で終わってしまいがちだが『歩いてごらん』とできた形で終わらせることで、次につながる」と解説した。

 参加した2歳とゼロ歳の子を育てる専業主婦の母親(41)は、食事の際、子どもがうどんを食べずにテーブルに並べるなどの遊び食べにストレスを感じていたという。「行き詰まりを感じていたが、前向きな言葉でルールづくりを試してみたい」と話していた。

 体験会は、理研から支援者らのネットワークを引き継いだ早稲田大学社会的養育研究所が不動産開発業者らと実施。今後も複数のプログラムを実践し、アンケートを通して効果を図り、開発業者やさいたま市などに導入を提案していきたいという。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年6月30日