レッツ「トモショク宣言」 家族で食卓囲む時間を増やそう 父親支援NPOが新プロジェクト
企業は「トモショク宣言」で実施計画を発信
東京都文京区で6月25日に開かれたキックオフイベントには、企業のダイバーシティー担当者や育児家事に関心のある父親ら約50人が参加しました。プロジェクトの中心は、「ファザーリング・ジャパン」メンバーで、パパ料理研究家の滝村雅晴さん(49)。滝村さんは「定時で帰った後に家で何をするか。その先に家族で一緒に食卓を囲むというライフスタイルを提示したい」と話しました。
具体的には、企業や団体、個人に「トモショク宣言」をしてもらい、それぞれの社内で定時退社の推進などできることから計画を立て、実施状況を社内外に発信します。また、「トモショク宣言」をした企業同盟をつくって意見交換することや、毎月第1水曜日を「トモショクの日」として早めの帰宅をするよう促したり、SNSに食事の様子をアップしてもらったりすることも考えているそうです。
働き方改革、育休取得者の増加にもつながる
滝村さんは「日本の父親の平均的な帰宅時間は午後10時以降が2割との調査もある。家族全員で夕食を囲む頻度が、国際的にも少ない」と説明。誰かと一緒に食事をする機会が多い人は、一人で食べる人と比べ、野菜や果物などの摂取が多く、インスタント食品やファストフード、清涼飲料水の摂取は少ないという報告もあるそうです。
企業が「トモショク」を進めれば、「従業員の心身の健康によいほか、企業の働き方改革の推進、男性の育児休業取得者の増加などにもメリットがある」と滝村さんは強調。「女性の社会進出の裏には、男性の家事進出が必要。国としても、生産性のアップや女性の活躍などにいい影響があるはず」と話しました。
ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也さんも「男性の生き方を変えていかないと、子育てや家事、地域のことを相変わらず女性がやることになってしまう。日本では『会社の人といる時間の方が大事』という価値観が根強いが、父親が早く帰ることで母親の負担も減る。いいことがたくさんあるトモショクを広げていきたい」と話しています。
我が家のトモショク術 冷凍、総菜、時短…
イベントには、企業の担当者も多く来場しました。ある食品メーカーの社員は「食に携わる会社なのに、社員の平日の帰宅時間は世の皆さんと変わらず遅く、恥ずかしい。トモショク宣言をし、社内で周知したい」と話していました。
ファザーリング・ジャパンメンバーらが各家庭で共に食卓を囲むための実践を語り合うシンポジウムもありました。「職場と自宅が近ければ、夕食に一度帰宅する」「カレンダーで一緒に食事する日を共有」「冷凍できるものはして、調理を時短」「調理器具を使ったり総菜を買ったりして省力化」「平日遅い日は週3日以内と決めている」などの声が上がりました。
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