親のテレワーク中、子どもがスマホを長時間利用…「こんなことでいいのか」の後ろめたさから前を向くには?
静かでいてもらうために、スマホを渡すしかなかった
最初は気軽な気持ちだった。緊急事態宣言を受け、4月半ばから6月末まで、次女の保育園が休園に。テレワーク中の私の仕事と小学生の長女の宿題を進めるには、次女に静かでいてもらいたい。おもちゃ代わりに、私のスマートフォンを渡すしかなかった。
視聴時間は日に日に長くなり、長女と動画のチャンネル争いも。「こんなことでいいのか」。後ろめたさで取り上げると、次女は退屈して「遊びに行きたい」と泣きわめく。「仕事の邪魔しないで」と言っても分かるはずもなく、仕方なく再びスマホを渡す―という悪循環。
親に必要なのは柔軟な発想「ネットを前向きに使って」
似た状況は、多くの家庭で大なり小なり繰り広げられていたようだ。「一番気になるのは、親のイライラで子どももイライラし、家庭のストレスが増幅すること」と話すのは、ネット教育アナリストの尾花紀子さん(58)。ネットを前向きに使う工夫をしようと呼び掛けている。
仕事中に子どもに話し掛けられると「後にして」と言いがち。だが、たとえば小学生には「冷蔵庫にあるもので夜ご飯作るから、何ができそうか調べておいて」とスマホで調べてもらう。幼い子には「長い針がこの数字までいったら仕事が終わるから、一緒にスマホのゲームしよう。それまでお絵描きできるかな」と、スマホをごほうびに利用し、「待つ」ことや時計の見方を覚えさせる。
漠然とスマホの長時間利用を心配し、ダメ出しばかりしてはいけない。子育て・学習ツールとして利用し、親子のコミュニケーションに役立ててほしいという。親は柔軟な発想が必要だ。
親のスマホを子が使う環境は…整っていなかった!
ただし、「環境づくりもきちんとしてね」と尾花さん。親のスマホを使わせるなら、子どもを不適切なサイトから守る「フィルタリング」を設定し、子どもが使う時は「オン」に切り替える。利用時間を制限する機能やアプリもおすすめだ。「良質な睡眠のため、夜遅くにスマホを見ないという約束もね」。あらら、うちはどれも不十分。
休校期間中、学校や塾でオンライン授業の導入が進んだ。「コロナ後」の育児や教育で、ネットはますます欠かせない存在になるだろう。まずは親の意識を変えることから始めたい。