〈坂本美雨さんの子育て日記〉61・娘の初合宿、見送る私は心配でたまらない
まさか、1年生から2泊3日なんて
娘が合宿に出発した。彼女の小学校の恒例行事である合宿、年間スケジュールに2泊3日の予定を見た時には、まさか、1年生は1泊でしょ?と思ったのだが、本当だった。
説明会で荷物のチェックリストを見て途方に暮れながら、2週間かけてリュックを探したり、先輩ママから伝授された便利グッズをそろえたり。検索履歴はあらゆるアウトドアグッズ屋さんのリュックだらけですっかり詳しくなってしまった。そういえば、登山が好き(というよりほぼセミプロ)だった父方のおばあちゃんのもと、荷物のパッキングはしっかり教わっていたことを思い出した。「山の上では、たった10グラムが生死を左右するのよ」という言葉は、遺言ともいえるくらい何度も聞いたものだ。
少しでも軽く、機能的に。おばあちゃんは赤い口紅を欠かさない人だったが、その口紅もほんの少し削って小さな化粧用パレットに移し替えていた(そもそも山で口紅は必要?と幼心にツッこんだが、それは必要不可欠だったおばあちゃんがすてきだなと思う)。
「大丈夫に決まってる」 本当は?
そんなことも思い出しつつ、でもやはり心配性が顔を出して手拭いやパンツは数枚多く詰める。出発前日には確認でほぼ夜なべ。用意周到だったはずだが、待ち合わせ場所でみんなの姿を見た瞬間、思わず悲鳴が出た。一番重要な、学校の帽子を玄関に忘れたのだった(急きょ学校にダッシュして購入しました…)。あいにくの雨も降る中、自分自身がすっぽりはいってしまいそうなリュックを背負ってさらに前にも抱えて、かばんが歩いてるような状態でバスに乗りこむ子どもたちが、本当にいとおしかった。娘は、親が留守をするのには慣れているが、自分が2泊離れるのは初めて。しかし飄々(ひょうひょう)としていて、寂しくないか聞いても「大丈夫に決まってるでしょ」とクールな返し。頼もしいが、本当のところはどうだろうか。手にしているものを口に入れてガジガジする癖のある娘、バスに乗り込むと、早速ハンカチをかみしめていた。
そりゃ、緊張するよねぇ。寂しくなったらノートをみてね、と伝えてある。夜中に手紙を書いて、家族の写真を貼り、BTSのシールでデコっておいたのだ。あれを見るのを忘れるくらい、楽しく帰ってきてほしいのだが。さて、母はどうかというと、見送った帰り道にもう会いたくてたまらない。重症である。 (ミュージシャン)
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