小泉環境相が「育休」宣言 閣僚初、期間は2週間 男性が申請しづらい「空気」変えたい
小泉進次郎環境相が「育児休業」取得を決めた。その理由として、真っ先に「空気」を変えることを挙げた。閣僚が取ることで、誰もが育休を取得できる社会に近づける狙いだ。約6%にとどまる男性の育休取得率引き上げにつながるか。識者は雰囲気づくりに加え、仕事の進め方の見直しが必要だと指摘している。
自民党内からも否定的意見…「とても悩んだ」末の決断
「『空気』を変えていかなければ、取得する公務員も増えていかない」。15日に環境省内で行われた働き方見直しの会合で、小泉氏はそう強調した。
小泉氏が昨夏に育休取得の検討を語って以降、是非が議論になってきた。閣僚は内閣が意思決定する閣議に出席しなければならない。国会の求めがあれば国会に出席する義務がある。閣僚の育休取得には自民党内からも否定的な意見が出た。
「とても悩んだ」末、小泉氏は「育休が取りやすい働き方が進むことを期待」して育休取得を選択した。
民間6%、国家公務員12% 言い出せない「同調圧力」
「空気」の指摘は小泉氏だけではない。自民党の「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」幹事長の和田義明衆院議員も「男性の育休を許さない職場の空気があるのは、紛れもない事実だ」と語る。
公益財団法人「日本生産性本部」が2017年に行った新入社員対象の調査によると、男性の79.5%が「子どもが生まれたときには育休を取得したい」と回答。内閣人事局が昨年行った男性国家公務員対象の調査でも、潜在的なものも含めれば取得意向を示す回答が8割を超えた。
実際の男性の育休取得率は民間が約6%、国家公務員は約12%どまり。育児・介護休業法は、労働者が育休取得を申し出れば事業主は断れない。それでも働く側にとって「申し出る」こと自体が難しいとされる。
働き方の相談・提案を行う民間企業「ワーク・ライフバランス」(東京)の小室淑恵社長は「本人から言い出せない、(育休を取らないという)同調圧力が強い」とみる。
専門家「仕事の進め方に問題。テレワークの導入加速を」
「空気」を変えるため、制度改正の動きも出てきた。自民議連は昨年、取得対象の男性からの申請がなくても企業側が育休を取らせる制度の創設を、安倍晋三首相に提言した。企業側が育休対象だと従業員に知らせる取り組みなどだ。政府も先月、子どもが生まれた全男性国家公務員に、1カ月以上の育休取得を促す制度を20年度から始めることを決めた。
小室氏は、仕事の仕方が重要だと訴える。「仕事の進め方が属人的。その人でなければだめだという状況が続いて休めないのが、日本企業の問題だ。テレワークも進んでいない」と権限委譲や、職場以外でも仕事ができる仕組みの導入加速を促す。「いま男性が育児に参加しなければ、この国の一番の課題である少子化の解消にはつながらない」
コメント