低迷する男性の育休取得率アップへ 厚労省の分科会が議論開始 妻の出産直後に取りやすくする制度拡充を

(2020年9月30日付 東京新聞朝刊)
 厚生労働省は29日、労働政策審議会の分科会を開き、男性の育児参加を促すため、妻の出産直後に休業を取りやすくする制度の創設を柱とした育休制度拡充の議論を始めた。男性育休取得率は、政府が設けた「2025年に30%」との目標に対し、2019年度が7.48%と低迷。男性が稼ぎ頭の家庭が多いことや、中小企業の人手不足といった多くの課題を解決することが求められる。 

来年の通常国会に改正案を提出する方針

 分科会では、妻の出産直後の時期に限定した男性の新たな休業制度について、対象期間や取得可能日数、手続きの簡素化などの議論を進めることを確認した。年内の取りまとめを経て、来年の通常国会に育児・介護休業法などの改正案を提出する方針。

 現行制度では、原則として子どもが1歳になるまで男女どちらでも育休を取れる。保育所に入れないなど一定の要件を満たす場合は、2歳まで延長できる。休業中は雇用保険から休業前の賃金の67%(7カ月目以降は50%)が支給される。

産後4週間は、夫の給付金を賃金全額に

 自民党は3月、母体保護や産後うつのリスクを踏まえ、母親の産後4週間以内に休業し、母親のケアや主体的に育児をすることが望ましいとする提言を政府に提出。5月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」にも、出産直後の男性の休業の枠組みの検討が盛り込まれた。

 今後は、妻の産後4週間を対象に、給付金を休業前の賃金の実質100%に上げたり、申請手続きを簡略化したりする自民案が議論の軸となる。

「人手不足の実態が…」と慎重意見も

 29日の分科会で委員からは、議論の趣旨には賛同した上で「新型コロナウイルス禍での景況感の悪化や、人手不足など職場の実態を踏まえた議論が必要」といった慎重な意見も出た。

 この日は、新型コロナに伴う小学校等の休校で所得減少を余儀なくされた保護者に助成金を支給する特例措置に関し、期間を12月31日まで延長するための省令改正が認められた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年9月29日