産後うつアプリで防止 神奈川県とITベンチャー・エモルが実証事業 AIとの会話から心理状態を可視化
志村彰太 (2021年11月27日付 東京新聞朝刊)
神奈川県とITベンチャーの「エモル」(京都市下京区)は、同社が運営するスマートフォンアプリ「エモル」を使い、産後うつなど出産後の女性の精神症状を防止できるか調べる実証事業を始めた。
実証事業、妊産婦に特化は初めて
同アプリは、その時の感情を記録したり、人工知能(AI)と会話したりして、自分の心理状態を可視化し、助言をもらえたりする。県によると、無作為に選んだ人にアプリを使ってもらう実証事業は、他自治体で既に行われているが、妊産婦に対象を絞るのは初めて。妊娠期から心理面でサポートすることは、産後うつの予防効果があるとされ、県はアプリにも同様の効果があると期待する。
平塚、鎌倉両市に住む妊娠2~8カ月の女性計100人に参加してもらい、妊娠期間にアプリを使うグループと、使わないグループに分ける。両グループ全員に産前産後の計4回、心理状態を問うアンケートに答えてもらい、妊娠中のアプリの使用が産後の心の健康に役立ったかを検証する。市による通常のサポートは、アプリ使用の有無にかかわらず受けられる。
県の担当者は「新産業の育成と、メンタルヘルスという社会課題の解決の両方を達成できれば」と話している。