出産できる病院がなかった千葉県香取市、17年ぶりに産婦人科医院 2023年春に開業へ
堀場達 (2022年1月6日付 東京新聞朝刊)
2006年4月以来、市内で分娩(ぶんべん)施術ができなかった千葉県香取市に、産婦人科医院が新設されることが決まった。名称は「香取レディースクリニック」を予定し、市役所前で2023年5月までの開業を目指す。
産後ケア、不妊治療にも対応
医院を運営する医療法人社団・みずたに会の水谷敏郎理事長と宇井成一市長が昨年12月24日、市役所で「産婦人科施設の設置及(およ)び運営に関する協定」書面に調印した。
協定は第1条に「市内のすべての妊婦が市外の医療機関で出産している現状の早期改善」と「出産から子育てまで安心して生活することができる地域医療体制の構築」を目標に掲げる。水谷理事長は「医師として50年以上培ってきたノウハウを役立てたい」と意気込んだ。
みずたに会は、船橋市で通常の分娩施術に加え、産後ケア、病児保育、不妊治療など、幅広く活動する産婦人科医院を開設している。香取市の医院は規模はやや小さくなるものの、同様の対応ができるようにする考えで、常勤医師2人、ベッド数10床でスタート、保育士らのスタッフを地元で募るという。
市有地を30年間無償で貸与
香取市では2006年3月末まで千葉県立佐原病院で分娩対応が可能だったが、年度替わりに分娩担当医師が引き揚げた。市は大学病院などに医師を派遣するように依頼してきたが、うまくいかず、昨年秋には関連の新条例を議会で成立させるなど、産院施設の誘致を図ってきた。
市は、香取レディースクリニックに敷地として、市役所前の市有地約2200平方メートルを30年間、無償で貸与し、固定資産税相当額10年分の「立地奨励金」、最高5000万円の「施設整備奨励金」などを交付する。