出産ってこんなにお金かかるの? 出産一時金アンケートで8割が現状に不満 42万円に収まらず自己負担

 東京すくすくが14~16日、出産育児一時金に関する「緊急アンケート」を実施したところ、約130件の回答が寄せられ、「自己負担額を現在よりも少なくしてほしい」人が44.1%、「国にすべて負担してほしい」人が37.8%にのぼり、計8割以上が不満を持っていることがわかりました。妊婦健診を含めた出産にかかる費用の大きさが、出産への心理的なハードルになっていることや、病院や地域によって負担額が大きく異なることへの不満も浮かんでいます。アンケート結果や、出産にかかるお金について寄せられた声を紹介します。

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健診も負担 2人目に心理的ハードル

 出産費用の自己負担があったかどうかを尋ねたところ、87.4%の人が「負担した」と回答しました。5~15万円を自己負担した人の割合が多く、中には40万円以上の高額を支払ったという人も。妊娠・出産するまで、健診費用も含め、ある程度のお金がかかることを知らず、驚いたという声も多くありました。

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 「妊娠するまでこんなにお金がかかるなんて知りませんでした。妊婦健診も状態によっては健診回数が多くなり、自己負担になります。出産費用が高いことは少子化と無関係ではないと思います」(40代前半女性、東京都)

 「こんなにお金がかかるなんて産むまで知りませんでした。基本料金は目安でしかなく、いろいろとお金がかかります。タクシー費用などもばかになりません。せめて産むときの負担を少なくしてもらわないと2人3人と産むことはできません」(40代前半女性、東京都)

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 「病院の出産費用が値上がりしているのに、一時金が少なすぎる。自己負担が多すぎて子どもを産む最初のハードルが高すぎる」(30代前半女性、東京都)

 「分娩(ぶんべん)費用の増額で個人負担が大きい。医療職側から言わせてもらえば、誠心誠意でケアをしているのに、未払いのケースもあり、精神的なストレスがある」(40代後半女性、茨城県)

産んだ日や場所でこんなに違うの?

 自己負担が発生する場合、どのくらいの金額なら許容できるかについても尋ねました。3万円までが32.3%と最も多く、5万円までも30%を超えました。地域によってかかる金額に大きな差があることを是正してほしいとの声も出ています。

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 「土日の出産で高額になる分を補助してほしい。3人目は里帰りせず都内で産んだら上の2人より高額でした。地域差も考慮してほしいです」(40代前半女性、東京都)

 「出産費用は病院によりだいぶ差がある。特に都内の病院は高額だと思う」(30代前半女性、東京都)

 「都内で高年齢ハイリスク出産、無痛分娩(ぶんべん)、体調不良で生まれる前に2週間ほど入院したこともあり、総額160万円を超えました。全部負担してほしいとは思いませんが、補助があると助かります」(30代後半女性、東京都)

 「少子化で産科が減少し、選択肢が少ない中、やっと選べた医院がふたを開けたら高額だった、ということがある。費用が一律になれば少子化対策には少しはいい影響があると思います」(30代前半女性、東京都)

 「子どもが2人いるが、産んだ病院が違ったので自己負担した額も大きく違った。途中で病院を変えるのは難しいので、事前に費用を明示してほしい」(30代後半女性、東京都)

 「一時金で賄える人と賄えない人との格差をなくしてほしい。産む前の健診ですら保険がきかずにお金が飛ぶようになくなりますし、産んだ後もそれ以上にお金が必要になります。せめてお金に不安を感じず、出産に臨める制度へ改革してほしい」(30代前半女性、東京都)

え、これも? 何の費用かわからない

 自己負担が想定していた金額だったか、また家計に与えた影響についても聞きました。「想定内の金額」だったものの「負担になった」との回答が45%、金額も「想定外」で「負担になった」という人も18.9%いました。「事前に上限を決めておけば安心して出産に臨める」と訴える声も。産院の中には豪華な祝い膳やエステなどのサービスがあるところもあり、こうした費用を入院費用に含めることへの疑問も出ています。

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 「出産費用のからくりがわからない。出産できる病院を探すのも大変だが、事前に明朗会計にしたりできないか」(50代前半女性、東京都)

 「ホテルのような出産施設による過剰なサービス(お祝い膳としてフルコース料理が提供される、マッサージやエステが無料で受けられる…)は入院費用に含まないでほしい。希望者のみ別料金で提供することにすれば費用の高騰は防げるのではないか」(30代前半女性、長野県) 

 「始めから自己負担の上限を決めておけば、お金の心配なく出産に臨めると思う」(30代前半女性、愛知県)

 「豪華絢爛(けんらん)な病院でオプショナルにかかる費用への補助は不要だと思います。それ以外に最低限必要な出産費用については上限を設けずに補助があれば安心して産める人も増えるのではないでしょうか」(40代前半女性、埼玉県)

 「病院のもうけ主義を何とかしてほしい」(30代後半女性、神奈川県)

一時金でなく、国が出産費を負担して

 現在の出産育児一時金は42万円。この金額についてどう思うかを尋ねたところ、44.1%の人が「自己負担額を現在よりも少なくしてほしい」と回答。「費用はすべて国が負担してほしい」も37.8%いました。一方、年収によって応能負担とすべきだとの意見もありました。

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 「出産一時金ではなく出産費は国が負担してほしい。ただでさえ、産んだ後に何倍もの額が発生する上、手当がもらえない世帯もあるのだから」(20代後半女性、新潟県)

 「妊娠・出産に保険適用するのが先だと思う」(40代後半女性、千葉県)

 「妊娠がわかった時から全ての医療費の負担がなくなるといい。15年ほど前は妊婦健診の補助が少なく、検診日を先送りしたことがあります」(50代前半女性、茨城県)

 「出産一時金が上がれば病院代も上がり、結局持ち出しがあるので全額補償してほしい」(40代後半女性、鹿児島県)

 「年収に応じて自己負担にするべきだと思います」(60代後半女性、東京都)

 今回、出産一時金に関するアンケートに、3日間で約130件もの回答が集まったのは、妊娠・出産の際の経済的負担の大きさに疑問や不安を持っている人が多いことの表れだと感じます。アンケートで多くの方が指摘されていたように、今の社会では、出産後の子育てにも多くのお金がかかります。望んだ人が子どもを産もうと思えるような環境整備を急ぐことが求められています。
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  • 匿名 says:

    妊婦健診未受診者には、経済的理由が多いらしい。普通に働いていても、高いと思っていたし、定期的に健診にいくのも仕事を休んだり時間調整が、大変。土日は大混雑。前向きに産もう育てようと思っている人でなければ、妊娠しても絶対に通わないだろう。挙げ句の果て、産み落とし新生児遺棄や、虐待、放棄に繋がる。赤ちゃんの命を守るにはこういった費用を含め、出産のハードルを全て下げて欲しいし、母親の人生を守るには、性教育と女子の高等教育、生活力経済力を上げないと。そして何より、男性側の課題は何なんでしょうか?どこから手をつけたら良いやら。

  • 匿名 says:

    国から出る出産一時金が上がると、病院は出産費用を上げる。
    だから自己負担は変わらない。オプションをたくさんつけた贅沢な出産でなくても、休日加算、深夜加算、などなど。
    病院も産婦人科医や助産師の確保に苦労している。出産は夜から明け方にも対応が必要で医師にとっても看護師にとっても大変な上、訴訟リスクまである。
    医療提供のバランス、地方と都市部の格差、解決しないと少子化はますます進む一方だと思う。
    出産にかかる費用は、オプション以外は公費にならないかなと思う。

      
  • 匿名 says:

    産んだ後に助けてくれる人がいないため、二人目を産むときに家電や乾燥機の導入、宅食サービス、ヘルパーさんの手配など事前にかなりの金額をかけた。産むときに思ったが、今までこれは親族内のタダ働きで賄われていたのだと思う。助けが得られない産後は死ぬなどしていたのではないか。某シッターマッチングサイト補助金のニュースが出ていたが、自身も補助金関係なくそれしかなかったため利用していた。しかし事前に定期予約していた方から産む直前になって値上げ交渉されるなど、足もとを見られたりかなり大変だった。公的支援を手厚くしなければ悲惨な事件が起きるし、民間まかせは絶対にダメだと思った。

      
  • 匿名 says:

    一方の医療機関側からの、例えば「都内では地価も人件費も高いため、産院の維持にはマッサージなどの付加価値を付けて入院単価を上げざるを得ない」というような声も掲載していただきたいものです。

      

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