【新連載】〈大滝麻未さんの子育て日記〉1・「出産=引退」の思い込み 打ち破ってくれたのは夫だった

(2024年4月24日付 東京新聞朝刊)

2022年のシーズン開幕を祝ってくれた8カ月の柚生(中)と夫(左)

ママアスリートとして挑んだ冒険 

 はじめまして! 昨年6月に女子プロサッカー選手を引退した大滝麻未(あみ)です。まだ現役でサッカーを続けていた2020年に、イギリスとイタリアのハーフの男性と結婚しました。イギリス人の母とイタリア人の父がいる彼は、生まれ育ったのはイギリスですが、アイデンティティーはイタリアの方が強いです。翌年11月に長男「柚生(ゆずき)」を授かり、日本で暮らしています。

 私たちダポト家の子育ては、何げない会話から始まりました。

 「今年で引退しようかな」「なんで? まだできるんじゃない?」と、夫。「だって、子ども産みたいから」「なんで子ども産みたいから、引退しないといけないの?」と、不思議そうな夫。「出産=引退」と、当たり前のように考えていた私にとって、ハッとさせられた瞬間でした。

 この夫の素直な疑問が、私の無意識の思い込みを打ち破ったように、ママアスリートとして挑んだ妊娠・出産、そして子育ては、知らず知らずのうちに私たちの中に築かれていた「当たり前」や「こうだろう」という常識という名の障害を一つずつクリアしていく冒険のようでした。

家事・育児は「できる人がやる」

 息子の柚生は、現在2歳5カ月。マイペースで、こうと決めたら曲げない意志の強さは私に似たのでしょう。夫は完全リモート勤務でフレキシブルに動けるので、柚生が生まれて私が競技に復帰・引退した今でも、「できる人がやる」スタイルで全て協力しながら子育てしています。

 現役時代は毎日のように柚生に会っていた元チームメートは、今でも愛情いっぱいにかわいがってくれて、幼い頃からたくさんの人に囲まれて育った柚生は、社交性抜群の愛嬌(あいきょう)たっぷりボーイに育っています。

 保育園に通っているので、出てくる言葉は日本語が圧倒的に多いですが、3カ国語を話すトリリンガルを目指し、私は英語で、夫はイタリア語で話すようにしています。少し前まで私が英語で話すと、「ママ違う!」と怒ることもありましたが、最近はどの言語も抵抗なく受け入れている様子で、使う単語や文章によってそれぞれ違う言語を使っています。

 時に強すぎる自我で、1人で歩かせると100%と言っていいほどの確率で親が行きたい方向の逆に行くし、1人でどこまでも行ってしまうし大変なこともありますが、本当によく笑う息子は毎日を華やかにしてくれています。

 6月には2人目が誕生予定で、より騒がしくなるダポト家の日常と子育てを、これからありのままつづっていきたいと思います。

大滝麻未(おおたき・あみ)

 1989年、神奈川県生まれ。女子サッカー元日本代表。夫は英国とイタリアのハーフ。2歳長男を日英伊の3カ国語で育児中。

コメント

  • 以前、スポーツ面にあった大滝さんの「なでしこ通信」を楽しみに読んでました。ご結婚して、子供もいたんですね! 海外で活躍したスポーツ選手だし、外国人の方と結婚して、子育てのやり方も私たちとは違うのでしょ
    ハムハム 女性 30代