〈大滝麻未さんの子育て日記〉2・出産ぎりぎりまで長男と走って遊びたい

(2024年5月29日付 東京新聞朝刊)

赤ちゃんの様子を診察する柚生

復帰見据え泣いてもすぐに抱かない 

 乳児期の柚生(ゆずき)は、抱っこをあまり喜ばない赤ちゃんで、抱っこで寝かしつけることもほとんどありませんでした。当時、産後1カ月を目安に練習復帰を目指していたこともあり、どこでも寝られるよう、泣いてもすぐには抱き上げないようにしていたからかもしれません。遠征先のホテルやベビーカーで、私が抱っこしなくてもよく寝てくれました。

 そんな柚生が2歳を過ぎた頃から、朝起きたらまず「あっこ!」、散歩に行っても「あっこ!」と、抱っこを求めるようになりました。最近は、おなかが大きくなるにつれて「ママがいい」が増え、小さいなりにいろいろと感じ取っているのだろうなと感じています。

 第1子ですし、もちろん不安や迷いもありましたが、退院した日の夫の一言で肩の力が抜けて、とても穏やかに育てることができたように感じます。「自分たちに余裕がないと、それはきっと柚生に伝わると思うから、常に余裕を持って柚生と接するようにしよう」と言ったのです。今考えると、まだ抱っこもうまくできなかった夫がよく言えたなと少し笑えるのですが、あの時はとても心に染みました。

間もなく出産へ最後のひと踏ん張り 

 第2子の妊娠もいよいよ後期に突入し、あと1カ月もたたないうちに生まれてきます。少し前までは、「ママおなかべべ(赤ちゃん)いるから、抱っこノーノー」と自分から抱っこを諦めたり、おなかにキスしたり。柚生なりに、おなかに赤ちゃんがいることを理解し、楽しみにしてくれているようでした。

 最近は、わがままを言うことが少なかった柚生が、小さなことで泣いて怒ることが増えました。私の体調が良くない日も増え、一緒に遊んだり抱っこしたりできない時間が、柚生を不安にさせてしまっているのかなと感じています。

 きっと、これから我慢させてしまうことは増えるでしょう。だからこそ、体調が良い時には、公園で柚生が満足するまで一緒にボールを蹴ったり、お決まりの「ガオー!I am T-Rex(ティラノサウルス)!ママ走って逃げて!」に応えて、思い切り遊びたい。最後の一踏ん張りと思って頑張っています。

 この時期になっても、まだそれなりに動けるのは、サッカーで養ってきた体力と、出産して競技復帰をした経験のおかげです。残りわずかな「ママとパパ独り占め時間」を存分に堪能してもらい、もうすぐ生まれる赤ちゃんに「お裾分け」できるほどの愛情を注ぎたいと思います!

大滝麻未(おおたき・あみ)

 1989年、神奈川県生まれ。女子サッカー元日本代表。夫は英国とイタリアのハーフ。2歳長男を日英伊の3カ国語で育児中。