特別養子縁組と真実告知 里親としての恐怖心〈古泉智浩さんの子育て日記〉29
「里親制度は子どものため」でも心は…
4歳の里子・ぽんこちゃんの特別養子縁組手続きを始めました。小学1年の兄のうーちゃんも2歳で縁組をしました。うーちゃんの時は「もし実親さんの気が変わって、自分で育てたいとなったらどうしよう」と恐怖心が常に付きまとい、一刻も早く縁組をしたいと強く願っていました。
「里親制度は子どものためのものであり、里親が子どもをかわいがるためのものではない」と頭では理解していても、心は別です。毎日一緒に暮らしている子どもが急にいなくなって、二度と会えなくなるのは恐怖です。
しかし2人目ともなると、1人はうちにいることが戸籍上では確実なので、のんびりした気持ちです。そのうちでいいかな、小学校入学までに済ませれば、くらいの気持ちでいました。ぽんこちゃんには非常に申し訳ないのですが、あらゆる面で大ざっぱになってしまっています。
真実告知 いつ、どこで、どう言うか
里子・養子には真実告知という重要なイベントがあります。「実はあなたは僕たち両親から生まれた子どもではなくて、別に生んでくれたママさんがいるんだよ。でもどっちも同じあなたの親だよ」と物心がついたら伝えなくてはなりません。
うーちゃんにはどう言おうか非常に悩みました。温泉などに出かけ、リラックスした気持ちになった時に伝える里親さんもいます。僕たち夫婦は、常に伝える準備をしておいて、話の流れができたら切り出すことに決めました。
兄は3歳の時 ちゃんと伝わっていた
うーちゃんと2人で車に乗っていた時です。子どもを生むか生まないかという話をうーちゃんが始めたので、「今だ」と思って話してみました。まだ3歳でした。伝わらなくても繰り返し言うことが大切です。うーちゃんは神妙な顔をして聞いていました。
しばらくして、うーちゃんがママにそのことを話しました。ちゃんと伝わっていました。深刻に受け止めている様子はなく、そういうものだと理解してくれているよう。僕らも特別なこととして捉えないようにする方針です。ステップファミリーの一形態であると考えてほしいのです。
妹のぽんこちゃんがわが家に来た時、うーちゃんは3歳でした。里子として迎える前に乳児院にはうーちゃんも一緒に何度か通ったので、施設から子どもがうちに来るということを理解する機会になりました。でも、けんかした時には「乳児院に戻して」などと言います。妹の真実告知は、うーちゃんに雑にされそうで心配です。(漫画家)
コメント