〈中倉彰子さんの子育て日記〉31・将棋熱

(2014年12月26日付 東京新聞朝刊)

ぶっつけ本番

 次女マキ(6つ)の保育所のクラスで、将棋ブームが起きていると、先生からうれしい報告がありました。送迎の折、子どもたちが将棋盤を囲む姿が目に入るようになり、私も時々のぞいてアドバイスをしたりして。でもマキは、あまり興味がない様子。少しは興味を持たせようと、長女マイ(9つ)が毎年参加している3千人規模の子ども大会に参加させることにしました。

 マキが、パパやマイと練習を始めたのは2日前(遅~い)。何とか駒の並べ方とルールを覚え、後は「中飛車」という、真ん中に飛車を持ってくる作戦を一つ。ほとんどぶっつけ本番でした。

 会場が近づくにつれ、2人は「あードキドキするー!」と緊張した様子。会場に入ると、突然マキが「絶対勝ちたい!」と宣言してビックリ。もう少し早くエンジンがかかると良かったのにねぇ。

 予選1回戦は、マキより少し上のお兄ちゃんが相手。2本指で駒を挟み「ピシッ」。手つきはなかなか様になっています。対局コーナーには、床に白いテープが貼られ、保護者はその外で観戦します。遠くて盤上が見えないのがもどかしい。他の対局が終わっていく中、マキの将棋が終わりません。子どもたちがマキの周りに集まってきました。長く頑張っている姿に感動する私。結果は負けでしたが、長い時間頑張った事を、たくさん褒めてあげました。

 2回戦は、盤上が見える位置。それはそれで、やきもきするものですね。唯一授けた作戦がうまくゆき、中央突破で優勢に。しかし、王様の捕まえ方を教えていないのが響き(笑)、負け。マキは、最後に自由対局を一局指して終了しました。

好きな子も

 一方のマイは2勝1敗で予選通過ならず。昨年は3連敗だったので一歩前進。口では悔しいと言いながらも、ちょっとうれしそうでした。

 マキも将棋に興味が湧いてきたようです。クラスでは、好きな男の子も将棋をしているとのこと。本人によると、相手もマキのことが好きらしく、どうやら両思い? 将棋が共通の趣味の2人、恋の行方が気になるところです。

 長男シン(4つ)は、アプリの将棋にはまっています。ルールもあやふやなのですが、弱い設定にすれば必ず勝てるので楽しいようです。来年はシンも連れて、3人で大会に参加できたら面白いなと思っています。(プロ棋士)