〈中倉彰子さんの子育て日記〉55・思春期女子とのバトル
ああ言えばこう言う
14歳のプロ棋士藤井聡太さんの活躍で、大きな将棋ブームが来ているようです。私も、最近はこの「子育て日記」で、聡太さんにあこがれる末っ子シンの話を紹介することが多かったのですが、今回は長女のマイの話をしたいと思います。
マイは小学6年生になり、難しい年ごろに入ってきました(本人は、思春期と言っています)。以前から、口は結構達者な方だったのですが、最近は本当に「ああ言えばこう言う」状態で、私も、ついカッとなって反応してしまいます。
言い争いのバトルをしているうちに、互いに引っ込みがつかなくなり、この間は、ついにマイがそのまま家を飛び出す事態に。日も暮れかけ、私も心配なので、必死に後を追いかけます。
「来ないでよ! 私なんていない方がいいんでしょ」。グサリ。そんなこと思うはずないのに…。
マイは、小走りにどんどん進んでいきます。バレーボール部で鍛えているだけあって、さすがに足は速い。私がはぁはぁ言いながら後をついて行くと、マイは大きな公園に入って行きました。
昔、マイをベビーカーに乗せて、よく散歩した公園です。ふと小さいころのマイを思い出し、私の目に涙が浮かんできました。
「いない方がいい」と子どもに言わせてしまう私の育児って、一体何なんだろう。至らないママでごめんね。
似たもの同士、はじき合う
ちょっと疲れたのか、マイはベンチに座りました。私も少し離れたベンチに座ります。互いに目が合い、思わずププッと笑いが。「なんで私たちこんなことしてるんだろうね」(心の中)
マイは、自分に似ているなぁと思う時があります(負けず嫌いなところとか)。母と娘、女同士でよく分かる部分があるだけに、磁石の+と+のように、相手をはじいてしまうのかもしれません。
次の日、「ママ、こんど一緒に原宿に行こう」とマイ。雑誌で見たお気に入りの洋服屋さんに行きたいようです。そうそう、女の子とはこうして一緒にショッピングをしたり、おしゃべりできるところがいいですよね。
マイとのバトルでは、私までついつい同じ土俵に立ってしまいますが、本当はもっと大きく構えて、どっしりと受け止めないといけないなぁ、と反省する今日このごろです。(プロ棋士)