「わいせつ行為でPTSD、不登校に」千葉県の小6女児が男性教諭らを提訴

太田理英子 (2019年1月31日付 東京新聞朝刊)
 30代の男性教諭から胸を触られるなどのわいせつ行為を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になり登校できなくなったとして、千葉県の小学6年の女児(12)と両親が30日、教諭や県などに計約1000万円の損害賠償を求め、千葉地裁に提訴した。母親は提訴後の記者会見で「やられたことを思い出すとつらい」とつづった女児の手記を涙ながらに読み上げた。

原告の女児が心情をつづった手記

女子トイレで胸を触られ、不登校に

 訴状によると、女児は2017年9月ごろから、学校の廊下などで脇をくすぐられ、昨年2月以降、女子トイレで服の中に手を入れられ、胸などを複数回触られたという。女児は同月から不登校になり、2カ月後にPTSDと診断された。

 訴状では、両親が教諭を異動させてほしいなどと求めたが、学校や自治体教委は「事実確認できるまで勤務させる」「転校させてはどうか」などと回答したとし、「学校などが安心して登校できる環境を整えず、不登校が長期化した」と主張している。

「勉強が大好きだった娘は、すべてを奪われた」

 教諭は「胸は触っていない。トイレ掃除の場所で励ますために、肩に触ったりしたが、セクハラ行為とは考えていなかった」と校長に説明し、わいせつ行為を否定。昨年7月に自治体教委に配置換えになった。

 女児はその後、母親の付き添いで登校しているが、主に保健室で過ごしているという。会見で父親は「学校で遊び、勉強することが大好きだった娘は、すべてを奪われた。同じ思いをする子がいないようにしたい」と声を震わせた。母親は「誰にも相談できず苦しんでいたことに気づいてあげられなかった」と悔いた。

代理人「第三者による調査制度の導入を」

 会見に同席した代理人の村山直(すなお)弁護士は、「学校での教員によるわいせつ事案は、教員側が否定すると、被害児童の居場所が守られにくくなる」と指摘。今回、自治体教委などが内部でしか調査しなかった点も問題視し、「第三者による調査制度の導入が必要だ」と訴えた。

 提訴を受け、県の担当者は「訴状の内容を精査して、今後適切に対処する」とコメントした。

女児の手記全文「やられたことを思い出すということがつらいです」

 私は先生にセクハラをされました。そういうことをされて、最初は遊び半分かな?と思っていたけど、2回目もされて、「こわい」と思いました。ねれなくなったり、学校に行けなくなったりしました。学校に行けなくなって、でも、クラスの子たちとあいたいけど、やっぱりこわくて、行けなくて、「かなしい」なと思い始めました。

 でも、今は、学校に少しずつ行けるようになったので、かなしいとは思わなくなりました。それよりも、今は、そのやられたことを思い出すということの方がつらいです。

 まだ、教室でべんきょうはできてないけどおくれている分をおいつかせて、教室で、べんきょうができればいいなと思います。

 2018年11月18日