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子どもは性暴力に遭っているのに…「ほとんどない」ことにする世の中の無関心

  (2018年11月19日付 東京新聞朝刊)
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安井信介さん撮影

 性暴力被害を取材し続けているフリーライターの小川たまかさんが自著『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』について語ります。

取材を始めて気づいた「私も性暴力の被害者だ」

 カウンセラーに「小学生の頃に電車で痴漢に遭った」と話したとき、「痴漢ぐらい大したことじゃないでしょう」と言われたことがある。彼はそれが、キュロットと下着をまくりあげて素肌を触られ、その後に性器を押し付けられる行為だとは想像しなかったのだと思う。確かに、下着の中に手を入れる行為は迷惑防止条例違反の痴漢ではなく、正確には「強制わいせつ」が正しい。けれど私にとって、「強制わいせつ」という言葉は、まだそのときは遠かった。

 数年前に、ある女性向けニュースサイトが「性暴力に遭ったことはありますか」というアンケートを採ったとき、コメント欄にはこんな声があふれた。

 「痴漢は性暴力に入りますか?」「痴漢ぐらいならあるけれど……」「性暴力の定義をはっきりさせてから、もう一度アンケートを採って」

 もちろん、痴漢は性暴力(性に対する人権侵害)だ。でも、私も取材を始めるまで、自分が性暴力の当事者だと意識したことがなかった。性暴力は、レイプや性虐待。私には関係ない、非日常。そう思っていた。けれど実際は、私はとっくに性暴力の被害者だった。

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小川たまか著「『ほとんどない』ことにされている側から見た社会の話を。」(タバブックス、1728円)

「あなたのせいではなく社会が悪い」と伝えたい

 小学校の頃だけではなく、都立高に通う高校時代にも繰り返し被害に遭った。友人たちの中には、制服のスカートに体液をかけられたり、集団痴漢に遭った子もいた。その被害を大人に言っても、多くの場合は困った顔でやり過ごされた。「スカートが短いから」と言う人もいた。スカートを泣きながら洗った生徒に、「警察に届けて証拠採取してもらおう」と言った教師は、あのときいなかった。

 いまだに子どもを狙う性犯罪は世の中にありふれている。私は被害に遭っている彼女や彼に対して、「世の中ってそういうものだから仕方ない」なんて言いたくないし、肩をすくめ曖昧にすますこともしたくない。あなたのせいではなく社会が悪いと伝えたい。性暴力を「ほとんどない」ことにする世の中の無関心に声を上げ続けていたいから、この本を書きました。

小川たまか(おがわ・たまか)

 1980年東京都生まれ。立教大大学院文学研究科修士課程修了。フリーライター。Yahoo!ニュース個人「小川たまかのたまたま生きてる」などで執筆。

 『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』タバブックスの紹介ページはこちら