10連休明け、不調の子どもたちへ 尾木ママ「つらければ学校に行かないで」 

(2019年5月8日付 東京新聞朝刊)
 例年になく長かった10連休が明け、子どもたちにとっては7日が「第二の始業式」となった。茨城県高萩市では4月末に中学3年の女子生徒(15)が自殺していたことが明らかになり、埼玉県熊谷市では高校2年の男子生徒(16)が自殺したとみられる。何が死に走らせたのかは分かっていないが、心と体が不調になった子どもを、どう守ればよいのか。専門家は「つらいときは学校に行かないで」と呼び掛けている。

「いじめと一人で戦っちゃダメ」

 教育評論家の尾木直樹さん=写真=は「心と体の安全が守れるところに緊急避難して。つまり、学校に行かないこと」ときっぱり。茨城県高萩市で4月末に自殺した市立中3年の女子生徒が部活動顧問から暴言を受けていたことを受け、「教師やクラスのいじめと一人で戦っちゃ、だめ。まずは、分かってくれる人のいる家で心身を休めて、次の策を考えて」と助言する。

 友人や子どもが死を口にした場合、たとえ冗談めかしたり笑顔であっても、SOSのサインの可能性がある。周囲の人は、真剣に話を聞くことが大切という。「まずその子の苦しさに共感し、一番信頼できる大人につなげてあげて」

不登校で人生が好転したケースも

 14歳で不登校になった経験のあるNPO法人「全国不登校新聞社」の石井志昂(しこう)編集長(37)も、学校や塾など、つらさの原因を取り除くことを強調する。

 「自分の気持ちを大事に。私のように不登校になって人生が好転した人もいることを、ぜひ信じて」と語る。周りの大人に対しては「本当に心配な場合、仕事を休み、一緒にいた方がいいときもある」と助言した。

大人の寄り添い方「TALKの原則」を知っておこう

 全国不登校新聞社の石井志昂さんが「周囲の大人が参考にするといい」と語る「TALK(トーク)の原則」。各ポイントの頭文字を取った原則で、文部科学省が2009年に出した教員向けの冊子に紹介されている。

Tell =言葉で心配していることを伝える
Ask =死にたい気持ちについて率直に尋ねる
Listen =絶望的な気持ちを傾聴する
Keep safe =安全を確保する

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年5月8日