部活の車送迎、親がやるべき? 「負担が重い」「他の親子と会う貴重な機会」…意見続々

(2019年5月9日付 東京新聞朝刊)
 東京新聞では毎週土曜日、読者の悩みや疑問に読者がアドバイスする「ねえねえちょっと」を掲載しています。3月に愛知県の女性「アップルパイ」さん(40)から寄せられた「当番制で車を出して子どもたちの部活の送迎をしているが、負担が重い」という相談に対し、「送迎は部活に関わる貴重な機会」「事故の可能性も考えてやめるべき」などさまざまな声が届きました。あらためて部活の送迎について考えてみました。  

ママLINEで配車当番表が送られて…断れない

 「アップルパイ」さんの中学2年の息子の部活では、土日に練習試合があると当番の保護者がマイカーで送迎。自身は親に下の子を預けてこなしており、朝6時に家を出て約40キロ離れた試合の会場まで送迎をすることもあったという。

 それに対して、約20件の回答があった。同様に負担の重さを感じているのは愛知の「部活がつらい母」さん(43)。「熱心なママたちが中心となって配車当番が組まれ、LINEで当番表が送られてくる」という。しかし、顧問は関与しておらず、「自転車で行ける場所でも、少し雨が降ると『誰か車出せない?』とLINEがくる。子ども同士の関係に影響するのを恐れて意見を言いにくい。学校が禁止してほしい」と訴える。

事故が心配「学校に申し入れ、辞めるべきだ」

 中学2年生の娘(13)が吹奏楽部に入っているという群馬の「パンダママ」さん(38)も同じ悩みを抱える。コンクールなどに出演する際、親たちが送迎しているが、1歳の息子が騒ぐため会場には連れていけない。夫は週末の仕事が多く、息子を両親に預けているという。地域の公共交通機関が整っていないこともあり、「こうした問題もあって、地方から都会へ人が移っていってしまう」と懸念しつつ「送迎の問題を含め、部活のあり方を考えて」と力を込める。

 中学校で運動部の顧問をしていた経験がある埼玉の「心配性の元顧問」さん(71)は「即刻学校に申し入れ、やめるべきだ」ときっぱり。現役時代に保護者から送迎の申し入れがあったが、事故を考えて断ったという。「校長が実態を知らない中で、されているのであれば大問題」と指摘する。

メリットは?「どの家庭も持ちつ持たれつ」 

 一方、親が送迎するメリットに目を向ける意見も。岐阜の「春一番」さん(51)は「他の親子と顔を合わせる貴重な機会。どの家庭も持ちつ持たれつ」と寄せた。同じく岐阜の「やり抜いた母」さん(60)も「下の子を実家や近所に預けたり仕事をやりくりしたり、他の人に当番を代わってもらったりしている人はたくさんいる」と励ました。

送迎中に中1男子2人が死亡した事故も 専門家「プロに任せる仕組みを行政が整えるべき」

 保護者が部活の送迎をしている最中の交通死亡事故も起きている。石川県では2016年10月、中学生の野球部員らが乗るマイクロバスが対向車線から飛び出してきたワゴン車と正面衝突し、中学1年生の男子生徒2人が亡くなった。

 マイクロバスには、同県珠洲市の中学生ら約20人が乗っており、生徒の父親が運転していた。同市内には電車が通っておらず、公共交通機関はバスしかない。市教委によると、同市から約150キロ離れた金沢市で開かれる県大会に向かう途中で、事故は午前6時半ごろだった。

 珠洲市は事故を受けて、17年度から部活の送迎で教師や保護者の運転を禁止とし、バス会社に送迎を任せ、その費用の一部を補助することを各学校に通知した。市内4校の中学校の部活が対象で、本年度は1200万円の予算を組んでいる。

 「事故が起きた際に責任を問わないと一筆書いて、保護者同士で部活の送迎をしているケースもあるが、約束で罪は逃れられない。万一事故が起きれば、自動車運転過失致死傷罪で、刑事責任を問われる可能性もある」。そう指摘するのは学校事故に詳しい高島惇弁護士(東京弁護士会)だ。「保護者に送迎の負担を押し付けず、プロの運転手に送迎を任せる仕組みを行政が整えるべきだ」と話す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年5月9日