「教育虐待」当事者の悲鳴が続々と 「プレッシャーに殺されそう」「20年経ってもつらい」

(2021年6月25日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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教育虐待への関心が高まり、さまざまな関連本も出ている。子どもとの接し方に悩んだ時のヒントになるかも

 受験の成功や成績向上のために暴力や暴言を用いたり、子どもの気持ちを無視したりする「教育虐待」という言葉を、近年よく聞くようになりました。東京すくすくでこのテーマを扱った「教育虐待につながる“3つの言葉”使っていませんか 強まる中学受験の重圧 親が子どもを追いつめる」には、当事者の子どもたちや、かつて経験した人、親の立場から、などさまざまな声が寄せられています。

地雷に怯え続ける日々…恐怖がトラウマに

 「私の場合は東大卒の父からでした。受験に関係なく点数が悪ければ当然締め上げられますが、満点でも『俺の方が優秀だ!』と怒鳴られるのです。(中略)どこに地雷があるか常に怯える日々でした」。現在は自分も子育て中という女性は今も「過去の恐怖に悩まされることもある」といいます。「子どもへ虐待の連鎖をしないよう気をつけるばかりです…」とつづっています。

 教育虐待を受けた傷は、年月を経てもトラウマ(心的外傷)となり、影を落としているという指摘は他にもあります。

 「第一志望の学校に入ってもチャラにはなりません。(中略)30代半ばになり、中学受験から20年以上経ちますが、未だに間違える度につねられた記憶、飛び降りて死にたいと思った情景を思いだし、辛くなります。友達と遊ぶ時間は全くなく、テレビも見ず、朝も夜もずっと勉強させられていました」

 「40代になった今も記憶は消えません。勉強も、生活態度も、100点でないと許さない母でした」

 「27歳・女です。(中略) 5歳(幼稚園の年中)の頃、父親に夜中の0時を過ぎるまで怒鳴られながら勉強させられていた記憶があります。私が勉強=しんどいもの・苦しく辛いものと認識したのは幼少期の教育虐待がきっかけだと思います」

親を個人として糾弾しても、解決しない

 この記事でインタビューした、教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、著書「ルポ 教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち」(ディスカバー・トゥエンティワン)の中で、「社会全体の教育システムや教育観を変えないと、エデュケーショナル・マルトリートメント(教育上不適切な扱い)はなくならない」と指摘。「教育虐待をしてしまう親を個人として糾弾したところで、根本的な解決にはならない」と著しています。

 親の立場から寄せられたコメントを読むと、おおたさんの指摘の重要性を感じざるを得ません。

「毎日しています。しているつもりはないけど、そこから考え方を変えられません。変えられないというよりをそう考えているという以前に、私自身がそれなのです。子どもをありのままに受け入れたいとは思いますが、私のありのままを表面的に変えたり2、3日変えてみても根本の部分に引き戻されるのです」

 「教育虐待、してますね。世間が順位を競わせるでしょう?負けたくない。1番が好き。私もずっと成績が良かったから子どもにもそうあってほしい。ポテンシャルがない子ではないので、期待してしまいます。(中略)教育虐待と言われようががっつり教育して、ストレス耐性を強くして、社会に放り込みたいです。だから教育虐待を止めきれません」

「成績がよくて当たり前」と言われ続け

 今まさに、苦しんでいる子どもたちからも声が寄せられています。

 「定期テストのたびに(兄は)もっと上だったなどと比べられる」「『塾に行ってるからには、それなりの結果出してね』と言われる」。中学3年の女子は、母親の重圧が「つらい」とつづっています。思い切って「プレッシャーになるからやめて」と伝えると、「せっかく、励ましてあげようと思ってるのにそんなこと言うの?」と言われ、「『ごめんなさい』と謝るしかなかった」といいます。

 中学2年の生徒は、かつての中学受験を振り返っています。「夜中まで勉強させられて、弱音を吐けば『じゃあ、やめる?』と言われ、それも嫌だから泣く泣く勉強して…」。偏差値の高い学校を目指し、周囲から「頭が良い」と言われたり、親からも「成績がよくて当たり前」と言われ続けていたそう。「そうならなくちゃと自己暗示をかけ続けた。そうでもしないとプレッシャーに殺されそうだった」と書いたこの生徒は、こう続けます。「子どもは何も考えていないと思っているかもしれませんが、それは違います。私たちにだって意思があり、意見がある。大人にとっての『当たり前』は私たちにとってはそうではありません」

自殺を考えた中2 「親は謝ってほしい」

 自殺を考えることすらあるという中学2年の子は、この記事に寄せられた他の子どもたちからのコメントを読んでこう書いています。「私以外にも母のようなクズのせいで悲しむ人がいる世界が信じられないし、そんな世界にいたくもありません。なのでこれをみた親(私の母のような人)が少しでも態度を改め子供に謝ってほしいです。土下座してほしいくらいです。勿論謝っただけでは許されませんし一生許されません。わかってください。いじめで自殺してしまう人だけじゃなく、親のそういう態度で自殺する方もいることを」

 振り絞るような子どもたちの訴えを大人の側がもっと、深刻に受け止めるべきではないか。改善のためにできることはなにか。考えていかなくてはならないと感じています。

すくすくボイス

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コメント

  • 匿名 より:

    「親は子供に何してもいい」という特権意識が問題。
    「子供は親の所有物」という所有意識も問題。

    「親は子供を20歳まで育てたらそれでお役御免、あとは社会の問題」
    「子供も親の面倒見る必要なし、社会が面倒見る」
    という風に転換すべきである。

    つまり、子供のことが心配なら親は社会をよくしなければならない。
    自分の老後が心配なら親は社会をよくしなければならない。

    真面目にやれ。

  • 匿名 より:

    親は自分ノシタ事分かってないので、自分が体力的にも、知力的にも、親よりも完全に絶対的に自分が上回った時に、実力行使で分からせてやった方が良いデスよ。そうでないと、忘れることも、許す事も出来ず苦しみます。

  • 匿名 より:

    私は間もなく74歳になります。鬼のように厳しかった母に対して、子ども時代から、「私の将来を考えてのこと」と感謝しつつも、母のような子育てはしないと固く決意していました。
    今、発達障害の娘を育ててみて、「今」しか考えられない、「今」を生きるだけでも四苦八苦している様子を見ていると、とても10年先のことを展望することができません。
    子どもより長い時間を苦労して生きてきた親が、子どもの将来の幸せを配慮するは当然。
    私の親世代は、戦争という子どもも大人も押し並べて「人権」がないがしろにされた世代。「子どもの人権規約」など考えもつかず、子どもに過酷な人生を生き抜く力を持たせたいと願ったことは責められません。
    問題は、子どもに対して権力者である親の考えを、暴力や暴言で強制すること。
    今子育てしている世代には、親子でよく話し合って一致点を見出していただくしかありません。

  • 匿名 より:

    これはねえ、まあ親御さん自身も自覚がありながらやめられないんですね。麻薬みたいなものと言ったら大いにとんでもないと怒られますか。実際に家庭内殺人のような事件は過去に起こった事例はありましたよね。ほらたしか、アイドルだった女優を犯したいなんて言い出して全国のファンが大きく怒っただいぶ前ですが。
    まず、そういう虐待を起こしそうな、勿論そういうことはやらないという方も含めて親御さんのための講習会を開く必要がありますね。いろいろと事例を示して。
    実際に起こった悲惨な事件に限らず、ちょっと架空の漫画とかドラマの話を列挙してみますが。

    楳図かずおの「おろち」で、むちゃくちゃ子供に勉強を強要する母親の話がありましたな。自分の子供でないようなと思ったら、実は本当に自分の子ではなく、生まれた時に殺された実の子供の犯人から引き取っていた子供でそれなら愛情も何もないというのがよくわかるような…ところがこの親のやっているようなことを現代では本物の親もやっているわけですよね。この子供は学校の宿題のために図書館に行ってたまたま昔の新聞が編集されたいわゆる縮刷版というあれを見て過去のその事件を知ってしまったんですね。
    桜中学シリーズの学園ドラマ、初代のクラスでしたか、ありましたよね。東京大学一本に絞って毎日毎夜部屋にこもりきり、当日発表のその日、…という結果がわかると近くの陸橋から飛び降りてしまった、その受験生の妹がクラスの一人で男の子と妊娠事件を起こしていたのですが、その子供は無事に生まれていたことで、「この子は〇〇のようにさせませんからね」という産んだ生徒の母親のセリフが身に染みてきましたね。
    オバケのQ太郎…オバQでも、正太が珍しく?試験で高得点を取った。ところがその隣にテントリくんという子がいて(この話1回しか登場しません)二人の回答がそっくりだからどちらかがカンニングをやっているとヒネブタ先生が二人を呼んで、これを聞いたQちゃんはテントリくんのところに行くと、これまた恐ろしい母親とまさに教育虐待そのもの、苦手な犬にも耐えたQちゃんの友情についにテントリくんは当日頭が痛くて母親のためにカンニングをやっていたことを自白し、ならば正太は自分がやったことにすると先生に伝えました。しかし、テントリくんも良心の呵責に耐えられず遅くに先生のところに行って真実を伝えたという、まあ母親はどう思ったかまでは描かれていませんでしたが、そういう話がありました。

    まあ、そんな架空のアニメなどくだらないと一蹴してしまわれるかもしれませんけどね、こういう話があったなと参考にしていただくと幸いです。

    で、ああ、私ですか。実は自分も親は東大なんです。ただし私の場合は早くに脱落していたもので、それでも最終的には東大ほどのレベルには遙かに遠い大学ですが、何?どこの?どのレベルのっておききしたいんでしょうな。私、それ大嫌いです。軍艦マーチとか大東亜戦争とかいわゆるランク分けするのが。まあたしかに月月火水木金金の受験戦争ですが、あといやなコンテンツというのが「東大生は…」とか、「できる子とできない子との差は…」という類の、いやですね。こういうのが受験戦争を一層あおり、毒親を倍増させていると思います。子供はこんなチャンネル絶対見ないようにしてと思っても親がこういうコンテンツのチャンネル登録に貢献させるんでしょうね。こういう社会的背景もなんとかしなければならないと。もう、そんなに東大がいいのなら全国の大学を合併させて東京大学という名称にしてしまえばいい、通学先はプロ野球のドラフトのように機械的に分けてって、まあそういうことで長々となりましたが、考えていただければ幸いに存じます。なに?あなた子供はいるの?東大出身の親は生きているの?それによって考え変えますか?それらはまた以降の段階で。

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