市立校に外国人の子9100人 学校の多文化共生、横浜市に学ぼう 第2弾出版「特色ある活動を知って」

志村彰太 (2019年5月19日付 東京新聞朝刊)
 外国籍や親が海外出身などの児童生徒を巡り、横浜市教育委員会と市内の民間団体の独自の取り組みをまとめた本「新 多文化共生の学校づくり-横浜市の挑戦」(明石書店)が出版された。編著者の一人、山脇啓造・明治大教授は「それぞれの特色ある活動を知ってほしい」と話している。

横浜市の多文化共生の取り組みをまとめた本

日本語や学校生活を学べる支援施設「ひまわり」

 四六判280ページ、2400円(税抜き)。市教委、市立小中学校、市国際交流協会などの教職員やボランティアらが、自らの活動と課題を執筆した。

 市教委は、市立学校に外国籍などの子どもが2017年時点で9100人いる現状を挙げ、同年に中区に開設した日本語支援施設「ひまわり」の概要を説明。生活に必要な日本語を教え、小中学校になじめるようにする「学校生活体験」といったプログラムを載せた。

ルーツは大切 学年を超え、同じ出身国の児童が交流

 市立学校は、1980年代に相次いで来日したインドシナ難民に端を発し、現在も東南アジア系児童が多い飯田北いちょう小(泉区)や、京浜工業地帯の働き手として入国したブラジル人の子どもが多い潮田小(鶴見区)、市中心部で外国人が多い南吉田小(南区)と横浜吉田中(中区)の事例を掲載。ルーツを大切にしてほしいと、学年を超えて同じ出身国の児童が交流する潮田小の「うしおだYY」などの活動を紹介している。

編著者の山脇啓造・明治大教授

 多文化共生論が専門の山脇教授は2000年ごろから、学校を地域に開放し、多文化共生を進める市立いちょう小(現・飯田北いちょう小)に着目。05年、当時の服部信雄校長と共に同校の取り組みをまとめた「多文化共生の学校づくり」を著した。東京学芸大教職大学院特命教授に就いた服部氏と16年に再会、市内全域の状況を紹介しようと第二弾出版に至った。

編著者の山脇教授「全国的にも影響が大きい」

 山脇教授は「横浜は、地域によって外国籍住民の国籍に特徴があり、多様性に富む。規模が大きく、市の取り組みは全国的にも影響が大きい」と本書の意義を語る。6月12日には、服部氏ら本の編者と執筆者が登壇する特別講義が午後5時10分から明治大中野キャンパス(東京都中野区)である。入場無料。詳細は明治大ホームページで。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年5月19日