学校のSNSいじめ 中高生たちがリアルな演劇に 24、25日に赤坂で上演
奥野斐 (2019年8月20日付 東京新聞朝刊)
中学校での会員制交流サイト(SNS)を利用したいじめをテーマにした劇「もがれた翼パート26 素数とくるみ」が8月24、25の両日、東京都港区の赤坂区民センター区民ホールで上演される。今年は国連「子どもの権利条約」採択から30年の節目となり、主催者は「子どもの声に耳を傾け、いじめの問題を一緒に考えてほしい」と話す。
被害少女に「悲劇のヒロインぶらないでほしい」
「何とかしてあげたかったけど、もうグループちがうし」「悲劇のヒロインぶらないでほしい」「世の中、つらいこと、もっといっぱいある」-。劇中で、いじめの加害者から一転、被害者になった少女への思いを同級生が口にする。
物語は、ある公立中学校でSNSでの誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)の書き込みなどによるいじめが起き、教師や保護者、弁護士ら周囲の大人と生徒が意見をぶつけ合いながら、解決へと葛藤する様子を描く。学校の問題に対応するため配置された弁護士「スクールロイヤー」も登場する。
ちょっとしたことで入れ替わる加害者と被害者
劇は東京弁護士会が主催し、弁護士や中高校生、大学生の計約20人が出演。同級生を演じる都内の中学2年、関根賢次朗(けんじろう)さん(13)は「いじめが発覚し、先生たちが反省しているところが見どころ」とPRした。
共に大学1年の井上桃子さん(18)は「加害者と被害者はちょっとしたことで入れ替わる。いじめが起きる原因を考えさせてくれる」。前川留衣(るい)さん(19)は「子どもの気持ちや環境に目を向けて」と訴えた。
上演のきっかけは「子どもの権利条約」の批准
同会は1994年、子どもの権利条約の日本批准を機に、子どもを取り巻く問題を知ってもらおうと劇を始めた。劇をきっかけに、暴力や虐待から避難した子どもが一時的に滞在できるシェルターも都内に開設された。
シェルターを運営する社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」事務局長の石井花梨(かりん)さん(36)は、脚本を担当した。「子どもたちは思いを十分伝えきれない。大人が寄り添う大切さを感じてほしい」と語る。
公演は全3回で、24日午後5時半、25日午後1時、同5時開演。入場無料。各回定員400人(先着順)。問い合わせは、東京弁護士会人権課=電話03(3581)2205=へ。