ブラック校則&部活の現状は? 「通学用自転車が7万円」「ハイタッチ禁止」…

(2018年3月7日付 東京新聞朝刊)
 理由が分からない「ブラック校則」と、教員の長時間労働の要因となっている「ブラック部活動」。学校が舞台の理不尽な問題を調査する評論家の荻上チキさんと名古屋大准教授の内田良さん(教育社会学)による現状報告会が、東京都内であった。

理不尽な学校の現状を報告する内田良・名古屋大准教授㊨と評論家の荻上チキさん

「日焼け止めや防寒具の禁止」

 「銀座の公立小学校で8万円のアルマーニの制服導入が話題になったが、近畿地方の公立中学では7万円の通学用指定自転車がある」

 荻上さんは、学校の規則が経済的な負担につながっている例がある、と指摘した。2017年秋に大阪府の女子高生が髪の黒染めを強要されたことがきっかけで始めた実態調査では校則がさまざまな弊害を招いていることが分かったという。

 大阪の女子高生は、髪染めを繰り返したことにより頭皮や髪が傷むなどの被害が出たが、ほかにも「日焼け止めや防寒具の禁止」など健康に影響を与えかねない校則を定めている学校があった。「校内でハイタッチ禁止」など根拠が不明な校則も少なくない。

部活動の問題「制度設計がない」

 「理不尽なルールに不適切な運用が加わるとブラック校則が生まれる」

 著書「ブラック部活動」(東洋館出版社)などで部活指導の負担感が教員を苦しめていると指摘してきた内田さんは「部活動は教育課程外とされ、制度設計がないのが問題」と訴えた。

 建前は「自主参加」とされていても実態は半強制的に顧問を任されていたりする。知らない競技を担当させたり、指導のために休日を削って出勤しなければならないこともある。

 「(指導が)楽しいからといって、はまるのもやっかい。過熱に歯止めが利かなくなる。練習日を減らすなどして、安全に続けられるやり方を考えるべきだ」と提案した。