きみが感じる家族へのもやもや、一緒に話そう 小学生~18歳の参加者募集 12/1 埼玉で「かくれが」

浅野有紀 (2019年11月27日付 東京新聞朝刊)
 テストでいい点をとらないと怒られる。親が自分の話ばかりして私の話を聞いてくれない-。子どもたちが家族に感じるもやっとした気持ちを語り合うイベント「もやもやこどものかくれが」が12月1日午後1時半から、埼玉県和光市の新倉北地域センターで開かれる。企画者の一人、慶応大4年の宮本理華子さん(22)=東京都港区=は「一人で抱え込まずに話してみたら、ちょっと楽になれるかも」と参加を呼び掛けている。 

「一人で抱え込まないで」と子どもたちに呼び掛ける宮本さん=東京都豊島区で

塾で聞いた子どもたちのつぶやき

 宮本さんはアルバイト先の塾で、家族のもやもやを抱える小中学生を見てきた。親からレベルに見合わない学習量を求められる子、習い事をやめたいけれど「親が『やれ』って言う」とつぶやく子。子どもにとって親の存在は大きく、誰にも言えずに思い詰めてしまう子もいるのでは-。安心して聞いてもらえる場所が必要と感じた。

 「かくれが」は、宮本さんの思いに共感した大学生や虐待防止活動に取り組む女性ら5人で企画。「相手を否定しない」ことがルール。「家族に言われたいやな言葉」「きゅうくつだなと思っていること」など、お題が書かれたカードに沿って、自分の思いを言葉にしていく。

 無理に話さなくても、色で自分の気持ちを表現するパステル画も用意している。

 かくれがの対象は、小学生~18歳。問い合わせは、メールで。

企画した宮本さん 「母の期待に応えようと…」中学時代の苦い思い出 

完璧を求められ「私のこと嫌いなのかな」

 宮本さんも幼い頃、母親の期待が大きいと感じた時期があった。ピアノの発表会で間違えると怒られたり、小学校の管弦楽クラブでコンサートマスターに選ばれなかったことをいつまでも悔やまれたり。「私のこと嫌いなのかな」ともやもやした気持ちが膨らんだ。

 小学2年の時、そんな思いを書きだした紙が担任教師に見つかった。連絡を受けた母は「つらくさせたね」と謝ってくれ、先生も心配して話を聞いてくれたことがうれしかった。それでも、どこか完璧を求めなくてはいけない気がしていた。

怒られないよう積み重ねた、小さなうそ

 「かくれが」をつくるきっかけになった、中学1年時の苦い思い出がある。返ってきたテストの答案用紙に正しい答えを書き直し「採点が間違っている」とズルをした。親に言われたわけではないが「学年で1番にならなきゃ」と思い詰めていた。先生にばれても、怖くて認められなかった。

 どうしようと悩むうち、これまでも母に怒られないように、つじつまを合わせる小さなうそを重ねてきたことに気付いた。ズルはしていないという自分を信じ、先生と熱心にやりとりする母を見て「このままじゃいけない」と思い直した。それから、うそはなくなった。

「母親も完璧じゃない」と思えるように

 高校入学後は、母を厳しく感じることは徐々になくなり、「母親だって完璧じゃない、一人の人間」と思えるように。大人になった今では聞き流すこともできたと思うが、「子どもにとって、親は絶対。家族のことは人に相談しちゃいけないと思う子もいるのでは」と、かくれがを企画した。

 来春からは、法務省の職員として非行や犯罪をした人の立ち直り支援の仕事に就く。「自分の場合は犯罪に至らないルール違反だったけど、もやもやが非行という形で表れる子もいるかもしれない。自分の気持ちと向き合える場所として、かくれがを続けていきたい」と考えている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年11月27日