「下着は白」「男子は短髪」…ヘンな校則を一斉廃止 世田谷区立中、2020年度から
下着は「目立たないシャツ」、性別問わず「清潔な髪形」に変更
世田谷区議会で校則の問題を指摘してきた桃野芳文区議によると、現在、制服の下に着るものに関する校則は区立中学29校のうち13校にある。「ワイシャツの下は白で無地のシャツ(下着、キャミソール含む)、体育着などを着用する」「ワイシャツ、ブラウスの色は白、下着も白を基本とする」など、色を白と限るのが12校で、1校は色柄を禁じる。これらの校則は20年度から、「ワイシャツの下に目立たないシャツを着用する」などに変わる。
男女別に髪形を定めた校則は7校。男子は目や耳、襟にかからないこと、女子は肩より長くなったら束ねるなどが、今後は男女の区別なく「清潔で活動しやすい髪形を基本とする」などとする。
また、ある中学の「給食中は牛乳をしっかり飲む」や、学年ごとに使用するトイレを定めるなど行動を細かく定めた校則もなくす。
区教委「主体性養うため、必要性と妥当性を見直してもらった」
桃野区議ら議会側からの問題提起を受け、世田谷区教育委員会の教育指導課は、今月下旬に各校の校則をホームページで公開してもらい、合わせて内容を点検した。その結果、見直しが必要と判断し、各校がそれぞれ取り組んだという。
同課は「校則には子どもの主体性や自立性を養う意味があり、それに照らし必要性と妥当性を見直してもらった。校則は各学校で決めるのが原則で、区全体で変わるのは珍しいのでは」とする。
桃野区議は「公立中学や高校の多くは、時代に合わせて校則を変える力が働かない。下着の色を決めるのは人権侵害だし、LGBT(性的少数者)への配慮が求められる今『男子は-』『女子は-』という校則は時代に合わない。変わって良かったし、強制するような実態も残さないでほしい」と話した。
「最終的には特性ある子に配慮を」
◇校則がなく、生徒の自主性を重んじる教育で知られる世田谷区立桜丘中学の西郷孝彦校長の話
見直すべき校則にはレベルがある。
(1)人権にかかわる
(2)合理的理由がない
(3)発達障害があったり、外国から来たりという特性がある子には守るのが難しい
人権にかかわるものはもとより、最終的には特性がある子に配慮するレベルまで見直してほしい。
「珍しいし、画期的な取り組み」
◇「ブラック校則」の共著書がある教育社会学者で名古屋大大学院の内田良准教授の話
世田谷区の取り組みは珍しいし、画期的。大阪府で髪が生まれつき茶色い高校生が教員らから黒染めを強要されて不登校になり、裁判を起こして2年たつ。学校が自主的に動いてほしかったし、古い校則が残る学校は全国にまだ多いが、自らそのおかしさを考え、変えてほしい。
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