大学入試は2週間~1カ月延期し、出題範囲を限定すべき 自民WTが提言 9月入学は「直近は困難」
土門哲雄 (2020年6月3日付 東京新聞朝刊)
新型コロナウイルスによる休校の長期化で学習の遅れや格差が生じていることから、自民党のワーキングチーム(WT)座長の柴山昌彦前文部科学相らは2日、萩生田光一文科相と面会し、来年1月に予定される大学入学共通テストなどの入試時期を2週間~1カ月ほど先延ばしすることを検討すべきだと提言した。9月入学については「本年度・来年度のような直近の導入は困難」とした。
休校長期化を受けて、学年末延長も提案
提言では、受験生の不安を和らげるため、入試について「早急に方針を決定、公表する必要がある」と指摘。大学入試は、高校3年生の学習の進み具合や浪人生の思いを踏まえて2週間~1カ月ほど後にずらしたり、出題範囲を限定したりする対応を提案した。
小中高校を設置する各地域の判断で本年度の学年末を2週間~1カ月ほど延長する特例措置を検討すべきだとも提言。学年末を延長した場合、来年度は遅れて始まるが、夏休みを活用するなどして例年通り3月で終えられると指摘した。ただ大学については、就職への影響が大きいことなどから、1学年の始まりだけを遅らせるべきだとした。
公明や若者団体「入試日程の早期判断を」
2日には、公明党の検討チーム座長の浮島智子衆院議員らも萩生田文科相と面会。9月入学は「現時点で拙速に検討を進めるべきではない」とし、「大学入学共通テストや個別の大学入試の日程について、ただちに高校現場の意見を聴取し、早急に判断することを強く求める」と提言した。
若者の声を政治に反映させる活動に取り組む「日本若者協議会」は2日、「学びの保障と9月入学を考える集会」を参院議員会館で開いた。有識者や与野党の国会議員が参加し、室橋(むろはし)祐貴代表理事が進行。日本大文理学部の末冨芳(かおり)教授は「9月入学では学力格差は縮小するどころか拡大する」とした上で、「大学入試に臨む受験生から悲鳴が上がっており、一刻も早い対応が必要」と力を込めた。
文科省は全国高等学校長協会を通じ、各高校に大学入試の日程繰り下げや出題範囲の限定、追試験が必要かどうか尋ねるアンケートを始めており、今月中に大学入学者選抜実施要項で日程などを示す。