81歳から独学!世界が認めた「最高齢プログラマー」若宮正子さん 子どもたちに伝えたい「作りたいものがかたちになる」楽しさ
退職し「老後の趣味」とPC購入 85歳の今、観光アプリを作成中
プログラミングは、コンピューターを指示通りに動かすための「命令書作り」だ。「プログラミング言語」と呼ばれる、英語や数式からなる特殊な文字列を入力し、ウェブサイトやアプリを作る。ただ、膨大な文法や規則があり、習得には地道な努力と時間が求められる。
若宮さんは現在、地元の江の島を紹介する観光アプリを作成中。文字列が細かく書き込まれたパソコン画面を示し、「小さな文字列だから、拡大鏡が手放せない」とほほ笑む。
23年前、銀行を退職。「老後の趣味に」とパソコンを購入した。生来好奇心が強く、新しいことに挑戦することが好きといい、ほぼ独学で知識を習得。グラフィックアートや、インターネットでの交流など、パソコンの世界にのめり込み、シニア向けの教室を開くまでに腕を上げた。
年寄りにアプリは難しい…「だったら自分で」ゲーム開発、大反響
ただ、スマホのアプリは、使い方や内容が「年寄りには難しい」と不満だった。「だったら自分で、シニアが楽しめるアプリを作ろう」と81歳のとき一念発起。プログラミングの知識はゼロだったが、入門書を読み込み、その著者に質問したり、知人のプログラマーにアドバイスをもらったりして、半年間で、iPhone用ゲームアプリ「hinadan(ひなだん)」を開発した。
ひな人形を正しい位置に置き、ひな壇を完成させるゲーム。無料で入手でき、これまでに11万回ダウンロードされている。海外からも注目を集め、米アップル社からは「世界最高齢のアプリ開発者」と紹介された。
小中学校の講演で伝えていること 「アイデアを育てるところから」
若宮さんが力を注ぐのが、子どもにプログラミングの楽しさを伝えること。必修化を機に小中学校で講演する機会が増えたが、「大人でも難しいのに、どう教えればいいのか」とよく尋ねられるという。
そんな時「何かを作る点で工作と同じ。コンピューターの力を借り、どんなものが作れるか、アイデアを育てるところから始めて」と話す。若宮さん自身、シニアが楽しめるアプリを作りたいとの目的意識が学ぶ意欲につながったからだ。
ゲームやおもちゃを例に「こんな動きができたらもっと楽しい」と考えさせてみる。他にも、読書や絵画・音楽鑑賞を通じ、作者がどんな思いで作ったか想像させることも創造力を養うことにつながるという。
YouTubeにメッセージ「小学生の君たちへ」 大事なのは創造力
実際にプログラミングに挑戦する際も「子どもの興味を大事にして」と若宮さん。最近は「スクラッチ」など、ゲーム感覚で学べる子ども向けのプログラミングソフトもインターネットで無料で利用でき、それらの活用を勧める。
若宮さんはこうした内容を「小学生の君たちへ」と題した動画にまとめ、4月に動画投稿サイトYouTubeに投稿。人工知能(AI)が進化する一方、「こんなものやサービスを作りたいというひらめきや発想は、人間にしかできない。子どもたちには創造力を大事にしてほしい」と話す。
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