川崎市立学校の貯水槽清掃、実施ゼロ 年1回が義務だが、夏休み短縮で時間なく…
大平樹、山本哲正 (2020年9月1日付 東京新聞朝刊)
川崎市立学校の貯水槽に年に1度義務付けられている清掃が、今年は1校も終わっていないことが、川崎市教育委員会への取材で分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で夏休みが短かったことに加え、市教委の発注手続きにも問題があった。川崎市の保健当局は「子どもたちが使う水がただちに危険とは言えないが、なるべく早めにやってもらう必要がある」と注視している。
市内148校を同じ業者に委託 例年は夏休みに実施
水道法は、貯水槽の設置者に年に1度の清掃を義務付けている。市教委では子どもたちが学校に来ない夏休み中に行い、8月末までに終えるのが通例。今年は新型コロナの影響で夏休みが2週間と短く、業者からの事前の聞き取りで夏休み中の完了は困難と判断した。今年7月に一部を除く市立学校148校の清掃委託業務を入札公告した際、完了期限を来年3月末とした。
5ブロックに分けて発注した入札は、すべて川崎市内の同じ業者が落札。落札から1カ月以上たった8月31日時点で、業者が清掃を終えた学校は1校もないという。保健当局は「年に1度」の義務について「2、3日すぎただけで、ダメなわけではないが、最低でも同じような時期にやるよう法は求めている」と説明する。
市教委、発注の不備認める 子どもの健康被害はなし
前回の清掃から1年以上空いたことについて、川崎市教委の担当者は「水道法の認識不足があった」と発注の不備を認めた。各校では残留塩素やにおいなどを毎日調べており、これまでに子どもたちから健康被害は出ていないという。
川崎区の小学生男児の母親(42)は「この暑さで、うちの子どもも学校で水筒のお茶がなくなると水道水を飲んでいます。できれば、ちゃんといつも通り清掃してほしいですね」と不安をのぞかせた。