学童保育の「待機児童」過去最多の1万8700人 コロナ禍で課題も浮き彫りに
小林由比 (2020年12月10日付 東京新聞朝刊)
共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす放課後児童クラブ(学童保育)の利用を希望しながらできなかった「待機児童」が、過去最多の1万8783人(5月1日時点)に上ったことが、全国学童保育連絡協議会の調査で分かった。協議会が9日に公表した。
共働き家庭が増え、需要が増大
調査は全国1741の全市区町村からの回答を集計した。学童保育は、新型コロナウイルス感染拡大による春の一斉休校の際も原則開所したが、指導員の不足や過密な保育環境など課題は多い。協議会は「質を保った施設の整備を着実に図るべきだ」と訴えた。
学童保育は国の基準に基づき市区町村や民間が運営する。共働き家庭の増加などで需要が高まっており、利用した児童も昨年より約3万5000人増え、130万5420人だった。
感染予防しながら見守り「難しい」
国は1カ所で預かる適正な児童数を「おおむね40人以下」と示しているが、協議会によると、実現できているのは約6割で、70人を超える大規模な学童保育も3.7%あった。
コロナの感染拡大が長引く中、協議会には学童保育の職員から、感染予防に注意を払いながら子どもたちを見守ることの難しさを訴える声が寄せられているという。
千葉智生事務局次長は「学童保育は子どもたちが長時間を過ごす生活の場。感染予防のためにも、規模などの基準を守り、専門性を持った指導員が安定して働けるようにすることがさらに求められている」と話した。