学童でも待機児童が増加中 「小2の壁」で退所させられる児童も

(2019年3月26日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 小学生が放課後、家に保護者がいないなどの理由で通う学童保育(学童)の利用が年々、増加している。しかし、希望に対応できる施設ばかりではない。首都圏では、新1年が新たに入ることに伴い、利用していた新2年が別の学童に通わざるを得ない事態も生じている。保育園の待機児童の問題と同じ構図ともいえ、早急な公的支援の必要性を指摘する識者もいる。

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新1年入学で押し出され…「せっかく慣れてきたのに」

 東京都杉並区の会社員女性(38)は1月、小学1年の長女が通う学童保育の職員に「新年度は90人の1年生が申し込む。この学童を利用できない可能性が高い」と言われ、がくぜんとした。

 学童は校内にあり、定員60人。毎年、利用を希望する全児童が審査対象となるが、条件が同じなら学年が低いほど審査で有利なので、学年が上がるほど入りづらくなる。

 結局、長女は新年度から、学校から歩いて10分の距離にある別の学童に通うことにした。女性は夫婦共働き。「小学2年とはいえ、校外の学童まで歩いて通うのは心配。せっかく慣れてきた学童なのに、小2にも壁があるとは思わなかった」と話している。

 杉並区では2018年4月時点で、学童保育を利用する児童は4324人で、待機児童は255人だった。19度は定員を260人増やして待機児童を解消しようとするが、「希望の多い場所と空きのある場所とでばらつきがある」と話し、希望通りにいかない現状がある。

利用児童は10年前の1.5倍、待機は1.3倍に

 学童保育は1997年の児童福祉法改正で、初めて法的に位置付けられた。児童福祉法に最初から位置付けられていた保育所に比べると歴史は浅い。加えて学童保育の設備や運営に関して国が基準を示したのは2014年が初めて。子ども・子育て支援法は市町村に対し、学童保育などの事業を実施することについて「責務を有する」と規定している。施設整備や職員確保などに力を入れる自治体もあるが、状況にばらつきがある。また利用者を決める審査や調整の方法もまちまちだ。

 利用者は全国的に増加している。厚生労働省の調査では、学童保育を利用する児童数は18年5月時点で123万4366人。10年前の1.5倍に増えている。また待機児童は1万7279人で、こちらも10年前の1.3倍に増えている。

東京都の待機は3821人「実際はもっと多いのでは」

 関東では東京都の待機児童が最も多く3821人、埼玉1657人、千葉1602人、神奈川654人、茨城395人、群馬66人、栃木56人となっている。全国的にも首都圏の待機児童は多い。児童数と共働き世帯数が多い上に、祖父母が遠距離に住んでいて支援が受けられないケースが多いとみられる。

 ただ全国学童保育連絡協議会(東京)によると、公営や公設民営以外の学童では、運営者や施設に直接申し込むことが多いため、市町村が待機児童を正確に把握できていないのではないかという。また、自治体が口頭で断ったものは待機児童として数えていないところもある。このため、実際の待機児童数はもっと多いのではないかという。

 学童保育に詳しい静岡大教授の石原剛志さん(50)は「共働き世帯が増え、保育所と同じようにニーズが高まっているのに、保育所に比べて施設整備が進んでいない。学童保育の施設整備に対しても公的財源による補助を抜本的に拡充すべきだ」と話す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年3月26日

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