〈奥山佳恵さんの子育て日記〉17・勉強しなかった私が、なぜ息子には「勉強しろ」と言ってしまうのか
勉強に関しては、2種類の人間がいる
こと勉強に関しては、2種類の人間がいると思う。自ら進んでする子と、しない子の。両親から一言も勉強しろと言われたことがないのをいいことに、4人きょうだいの長女の私は、当然のように「しない子」でした。年子の妹も「しない子」。そんな姉2人の姿を見ていた弟2人は、積極的に「する子」となり、立派な成績で大学にも進学。私と妹にとって大学といえば「甘くて固めのおイモ」くらいの認識しかないのに、意図せず弟たちの反面教師になれて、よかったです。
そんな私たち姉妹ですが、妹はフラワーアーティスト、私は芸能の世界へと進み、結果としてそれぞれ表現者としての職を得ることができました。小さな実体験ながら痛感するのは、勉強だけがすべてではないということです。
それなのに、自分の子どもに対しては、どうしてこうも「勉強しろ」と言ってしまうのか。子どもたちに何も言わない、まるで達観したような、私の両親のレベルにはまったく到達できませんでした。
塾にも行かず、家で勉強しているところを見たことがない長男も、この冬はいよいよ大学受験。テスト前こそ声を荒らげてしまう私ですが、「言ったところでしない」ことが、ようやく骨身に染みてきたこの頃。操作不能。そうなるともう「キミの人生、好きにして」と思うほかない。
「もう好きにして」と思っていたら…
そんな息子ですが、なんと自力で行きたい大学の「推薦」を獲得、12月上旬に「合格通知」をいただいてきたのです! 実は「していた子」だったの? おめでとう!
途端に生活は荒れて、好き放題。ゲームばかりで寝坊に遅刻。これ、親としてやっぱり黙っていられませんよね?
なのに返ってくるのは「ボクの人生」。「推薦もとれて、合格だってできた」んだから「好きにさせて」なんて言う。理屈としてはそうでしょうが、あなたはまだまだ親の保護下。「ボクの人生」うんぬん前に、合格通知を受けた後の入学手続きだって散々で。長男がうっかり捨てていた大事な振込用紙はゴミ箱から、添付する証明写真は書類のゴミの山から父がすべて見つけて難を逃れたのです。
「ボクの人生」を尊重し、何も言わずにいられる親になれないのは、私たち夫婦のせいだけじゃない気が。大学生になった彼の朝も、私が毎日起こさなくてはいけないのかなぁ。合格はうれしいけれど、勉強しろとか起きろとか、ボクが親から何も言われず人生を歩み出すのは一体いつだ!? (女優・タレント)
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