緊急事態3月まで延長なら修学旅行できない… 悩む学校現場
奥野斐 (2021年2月2日付 東京新聞朝刊)
新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言が3月上旬まで延長される見通しとなったことで、学校現場では校外学習や修学旅行が実施できない可能性が高まり、頭を悩ませている。宣言解除を1つの目安と考えている学校もあり、コロナ禍での感染防止対策と学びの保障との両立に苦慮している。
江東区 「6年生だけはなんとか…」
「宣言の期間が延びると校外行事は難しい。対応をどうするか悩む」。東京都江東区の区立小学校に勤務する男性教諭(46)はため息を漏らす。同校では毎年、近隣企業の協力を得て、校外で英語を学んだり職業体験をしたりする機会を設けてきたが、今年はコロナ禍で延期になった。
江東区教委は、区立学校向けガイドラインで、遠足や社会科見学などは原則中止とし、修学旅行の代替として行う「想(おも)い出に残る行事」は宣言解除後にするよう明記している。男性教諭は「今年はコロナで何もできなかっただけに、6年生だけはなんとか実施させてあげたい」と話した。
豊島区 「送る会」はできる範囲で
緊急事態宣言に伴い、1月から分散時差登下校をしている豊島区立仰高(ぎょうこう)小では、宣言延長でこの態勢をしばらく続ける予定。各クラスを2グループに分け、それぞれの登校時間を決めており、新井裕(ゆたか)校長は「仲の良い友達と自由に登校したい子もいると思うが、もう少し我慢」と理解を求める。
今月に行う「6年生を送る会」は、感染防止対策から他学年の出し物などは離れた教室から同時中継したり、事前収録したりする。新井校長は「宣言が解除になれば多少やり方を緩めることも考えたが、できる範囲でやりたい」と話す。
墨田区 昨秋に実施できた学校も
修学旅行の中止を決めている地域も多い中、対応に苦慮するのは墨田区。区立中10校の約半数は昨秋に修学旅行を実施したが、残る学校は2月下旬から3月上旬に予定している。
墨田区教委の担当者は「教育的な意義と安全性をふまえて再度検討する」と話した。