シトラスリボンで感謝伝える さいたまの特別支援学校の3年生、卒業記念に

前田朋子 (2021年3月10日付 東京新聞朝刊)

「胸のこのあたりにつけてほしい」とシトラスリボンについて話す土屋さん

 埼玉県立特別支援学校さいたま桜高等学園(さいたま市桜区)の3年生が、卒業の記念に学内関係者や保護者、地域の商店などに贈ろうと、「シトラスリボン」を手作りした。生徒らは「お世話になった皆さんに感謝を伝えたい」と話す。

感染者や医療従事者への偏見をなくそう

 シトラスリボン運動は、新型コロナウイルスの感染者や医療従事者への差別や偏見をなくそうと、愛媛県の有志が始めた。リボンの3つの輪が地域・家庭・職場(学校)を表している。

紙バンドを細く裂き、組みひものように編み上げたシトラスリボン

 運動に賛同したさいたま桜高等学園の野平敬子教諭が、広く学校や生徒を支えてくれた人たちに感謝しようと制作を呼び掛けた。参加した工業技術科インテリアコースの男子生徒10人は、手芸にも使う梱包(こんぽう)材の紙バンドを細く裂いてリボンを編み上げ、ピンをつけて胸などに飾れるようにした。

「ありがとう」なかなか言えない家族に

 土屋亮さん(18)は「長持ちするよう手が痛くなるほどきっちり結んだ。ありがとうと、なかなか言えない家族に感謝を伝えたい」とはにかんだ。桜井駿さん(18)は、卒業制作として友人と2人でキャラクター人形50体を作り、残った紙バンドをリボンに活用した。「社会に出るのは楽しみだが、学校を離れるのは寂しい。コロナが収束したら皆で集まりたい」と話した。

 コロナ禍で学校行事が中止になり、ともに過ごす喜びを奪われた1年。野平さんは「コロナ禍で人を思う心の成長もあった。リボン作りで学んだ恩返しや社会貢献を社会で生かしてほしい」と話した。