17歳のバリスタが「1日だけのコーヒー屋さん」 国内わずか300人の難関資格も合格、広がる夢

岩岡千景 (2021年1月18日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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池上駅近くのイタリアンレストランで「1日だけのコーヒー屋さん」を開いた金井さん=大田区で

父親が経営するイタリアンを間借り

 年の瀬の昨年12月21日。東急池上線池上駅(大田区)近くの商店街の一角に、行列ができていた。コーヒーをいれる「バリスタ」資格を持つ金井広大(こうだい)さん(17)が、父が経営するイタリアンレストランを定休日に借り、コーヒーをテイクアウトできる「1日だけのコーヒー屋さん」を開いていた。

 当日は、全国の高校生が製菓技術とアイデアを競う大会「スイーツ甲子園」に2年連続で出場したクラスメート、浦慎之介さん(17)=埼玉県入間市=が作った焼き菓子も販売。浦さんが途中から助っ人に加わったが、金井さんが朝から夕方までほぼ1人で切り盛り。「大変でした」と苦笑する。

 1日限定の店は「店長になる経験をしてみたい。入社したら資格もさらに取りたいし、技能などを競う大会にも出たいから、時間があるのは今しかない」と実行した。

テストは20科目 異例の若さで合格

 金井さんは、調理とカフェ、製菓職人を育成する専門校「レコールバンタン」(目黒区)高等部で洋菓子職人を養成するパティシエ科3年に在籍する。

 地元中学を卒業後、父に勧められて「勉強として料理ができるならいいな」と同校に入学。バリスタ技術は、2年の時に社会人コースをあわせて受講して学んだ。アルバイトをしている品川区のコーヒー専門店へ今春に就職することが内定し、店の人の勧めで昨年、世界共通の民間資格「国際コーヒー鑑定士」も取得した。

 コーヒーは豆の産地や育ち方、ひき方、焙煎(ばいせん)の度合い、抽出法などで味わいが変わる。国際コーヒー鑑定士はコーヒーに関する基礎知識のほか、味覚や嗅覚の鋭敏さ、風味などから産地を判別する能力など約20科目のテストをクリアしなければならない難関資格。国内には約300人しか取得者がいないが、金井さんは1回目の挑戦で合格。異例の若さだ。

漫画「東京喰種」のマスターが好き

 コーヒー好きの年季は相当かと思いきや「コーヒーが好きでバリスタになったわけでなく、バリスタが格好いいなと思って、コーヒーを飲み出したんです」と話す。「バリスタもバーテンダーも、ドリンクを作る人が格好いいと思う」。中でも、映画にもなった人気漫画「東京喰種(グール)」(集英社)の主人公が通いつめる喫茶店の、コーヒーにこだわりを持つマスターが「すごく好き」と語る。

 「将来は、メニューの一つ一つを3時間でも4時間でも語れるような、自信を持って提供できるものだけをそろえた店を出したい」。夢を語る笑顔が輝いた。

バリスタとは 

 コーヒー専門店やカフェなどでコーヒーをいれる人。資格がなくてもできるが、日本バリスタ協会など複数の民間団体が資格を設け、技能や所作、仕上がりなどを競う国内外の大会もある。泡立てたミルクを注ぎ、絵や模様を描く「ラテアート」もバリスタの技術の一つ。

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