東京大空襲を小学生に語り継ぐ「平和集会」 墨田区、今年は一部オンラインで
長竹祐子 (2021年3月16日付 東京新聞朝刊)
戦争や命の尊さについて考える「平和集会」が13日、東京都墨田区立八広小学校であった。児童たちは自分の学校も空襲で被害を受けた事実を知り、「戦争は怖い。もう二度と起きてほしくない」と平和の大切さをかみしめていた。
昨年はコロナで中止
墨田区では長年、東京大空襲の被災経験を語り継ごうと「平和学習」をほぼ全ての小学校で続けてきた。毎年児童らが区内の都慰霊堂(横網2)を訪れたり、空襲体験者を招いて話を聞いたりしている。
八広小では、新型コロナの影響で昨年は平和集会を中止にした。今年は一部オンラインと動画を取り入れ、分散して開催。須藤太郎校長が「戦争は人の命を奪う恐ろしいものだが、人が考えを出していけば防げるかもしれない」と児童に語り、6年生が事前に調べた東京大空襲や原爆、戦争中の暮らしなどを発表した。
続いて、すみだ郷土文化資料館(向島2)の石橋星志学芸員が、空襲被害などについて説明。八広小の前身の国民学校の校舎の一部が空襲で焼失した地図や、空襲2カ月後の航空写真を示し、「みんなの家の辺りも結構焼けている。戦争は後々まで続く。皆が幸せじゃないと平和な世界ではない。みなさんの夢がかなうことがいい社会」と語りかけた。
事前学習をした6年生はこの日、戦争や平和にさらに思いを巡らせた様子だった。上原爽(あきら)君は「食糧難の話を知ったので、好き嫌いをなくしたい」と語り、空襲について調べた峯崎駿太君は「戦争は笑顔がなくなるので悲しい」とコメント。二階すみれさんは「(動画で見た)体験者の話が印象的で、自分だったら一生心に残ってしまうと思った」と話した。