八王子の戦跡、親子で巡りませんか 戦後75年の節目に高校教師・斉藤さんがガイドブック監修

布施谷航 (2020年8月12日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 戦後75年の節目に合わせ、小中学生に空襲の痕跡や戦死した兵士の墓碑など東京都八王子市の戦跡を紹介する「ガイドブック 八王子の戦跡」が出版された。監修者として各地を取材した市内在住の高校教師、斉藤勉さん(62)は「新型コロナウイルス流行で都外への外出自粛が求められる中、親子で歴史に触れる散歩をしてみてほしい」と呼び掛けている。
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「ガイドブック 八王子の戦跡」を監修した斉藤勉さん=八王子市で

市内75カ所、120点を紹介 JR高尾駅構内の銃弾痕も

 紹介されているのは、明治時代に陸軍大将乃木希典が揮毫(きごう)した「表忠碑」から5年前に建立された戦没者慰霊の供養塔まで、市内75カ所の約120点。JR高尾駅構内に残る米軍戦闘機による機銃掃射の銃弾痕なども掲載した。斉藤さんが現地を訪れて写真を撮影し、国立市や昭島市の歴史資料室や図書館で当時の新聞や史料を確認した。

 コロナの流行が深刻化した3月から4月にかけて戦跡を取材した。緊急事態宣言も出され「戦後75年の節目なのに多くの式典が中止になるかもしれない」と危機感を抱いた。子どもたちが戦争を学ぶ機会が失われかねないからだ。「ガイドブックを何としても出版したい」と意を決した。「三密」に気を付けながら1日に10カ所ほど巡ったこともあった。

 こうした思いに、知人の建築家や元市議ら八王子の市民も共感してくれた。戦跡が残る寺の住職を紹介され、戦争のために徴用された馬を供養する観音像があることも教えてもらった。「知り合いのはんこ屋さんは、碑文に書かれた篆書(てんしょ)の解読を手伝ってくれました」と、仲間の協力に感謝の言葉を述べる。

旅行できない夏休み 子どもが手にして回れるように 

 ガイドブックは今月1日に出版。B5判で112ページ。子どもたちが手にして回れるよう、地図や用語解説、八王子市と戦争との関わりを記した年表も掲載した。斉藤さんは「小中学生にとっては旅行もできない夏休みとなってしまったが、ガイドブックを手に親子で近くの戦跡を回ってほしい」と話している。

 「子どもたちに戦争の歴史を伝えたい」との思いは教育現場にも伝わり、出版社には小学校から問い合わせもあるという。税抜き1200円。八王子市内の主な書店で販売している。版元の揺籃(ようらん)社は、電話042(620)2615。

 [元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年8月12日

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