横浜市の中学校給食「選択制」から「全員実施」へ 市民の意向をアンケートで聞きます

丸山耀平 (2021年9月17日付 東京新聞朝刊)
 横浜市の山中竹春市長は16日、市議会本会議で初めての一般質問に臨み、中学校給食の全員実施の実現に向け、生徒や保護者らに考えを問うアンケートを実施する方針を明らかにした。一方、8月の選挙戦で掲げた公約の実現可能性について「財政状況を踏まえて議論したい」などと述べるにとどまり、踏み込んだ回答は無かった。

一般質問の答弁をする山中市長=横浜市議会で

今年4月から「選択制」7月の利用率21%

 中学校での給食を実施していなかった横浜市は今年4月、配達弁当「ハマ弁」を学校給食法上の「給食」と位置付け、家庭弁当や業者弁当などの中から選ぶ「選択制の給食」を開始した。7月の利用率は21%だった。

 一般質問の答弁で、山中市長は給食の全員実施について「成長期の中学生に必要な栄養バランスの整った給食を提供することは市の責務だ」と意義を強調した。市が2019年に児童・生徒、保護者らを対象に行ったアンケートでは選択制を評価する回答が最多だったが、市長選で全員実施を求める声が多かったことを踏まえ「改めてアンケートを実施し、速やかにニーズを把握したい。全員喫食(実施)を目指して最適な手法を検討する」と述べた。

 一方、就任後に数回給食(ハマ弁)を食べたと明らかにし「栄養バランスが考慮され、多彩なメニューとなっている」と評価。本年度一部の学校で実施している、新入生に原則として給食の利用を推奨するプログラムを、来年度は市内全校で実施する考えを示した。

「子どもの医療費、出産費用ゼロ」 財源は?

 一方、市長選で公約に掲げた「75歳以上の敬老パス自己負担ゼロ」「子どもの医療費ゼロ」「出産の基礎的費用ゼロ」の「三つのゼロ」に関する質問も相次いだ。山中市長は「介護予防や健康長寿の点から意義がある」「子育て世代の負担が緩和され、子育てしやすい環境が整う」と公約実現の意欲を語ったが、必要な財源確保の具体的な進め方は示さず、議員からは批判の声が上がった。

 また、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致予定地だった山下ふ頭(中区)の再開発については「有識者や地元市民らによる委員会を設置し、新たな事業計画の策定を進める」との方針を示した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年9月17日