「登校児童は4分の1…」学校の集団感染が急増 予防・ケア・授業 教育現場は模索中
自宅待機・登校控え多く、オンライン併用
「オンラインの人はこの問題解けた?」。都内のある小学校の中学年クラス。児童16人と担任教師が相次いで感染し、学級閉鎖に追い込まれた。27日に再開された授業に出席したのはクラス37人のうち16人。症状は治まったが自宅待機中だったり、感染対策で登校を控えたりする児童がいるため、対面とオンライン配信を併用した授業となった。
この小学校ではその後、5クラスが学級閉鎖になった。27日時点で学級閉鎖は3クラスになったが、この日に登校した全校児童数は4分の1。当面の間、多くのクラスで対面とオンラインの併用や、オンラインだけの授業となる。
校長は「オンライン授業は保護者がそばにいるかどうかで児童の取り組み方が変わる。新たなソフトを使うなど工夫しているが、いずれ復習できる機会を設ける必要がある」と説明する。
一方で、これまで以上に感染予防対策に気を配る。校長は「マスク着用や黙食の徹底など対策はしてきた。どの場面で広がったのか分からない」としつつ、寒い日でも教室の窓を少し開けるなど、特に換気を徹底し、手洗いやマスク着用をあらためて呼びかける。
児童だけでなく、教員は4人が感染し、濃厚接触者もいる。校長は「これ以上、教員の感染者が増えないようにしなければ」と気を引き締める。
感染状況を通知「情報伏せれば不安になる」
保護者には19日から、各クラスの感染状況を連絡用アプリで通知するようにした。「情報を伏せれば保護者は余計に不安になる。通学させるかどうかの判断材料も必要」という考え方からだ。保護者に目立った混乱は見られないという。
感染した児童の心のケアも心がける。感染予防に敏感になっている児童もみられるという。
そんな中、感染していない児童の一人は、自宅療養を終えた担任教師に偏見や差別防止を掲げるひも飾り「シトラスリボン」を贈った。児童と保護者の手作りで、同級生の分も製作中だという。
担任は「うれしく、心強い。感染や登校を自粛した子が後ろめたさや疎外感を覚えないよう、声を掛けていく」と話した。
感染拡大が続く中、校長は「多くの制限の中で何ができるか、子どもにも主体的に考えてもらう機会にできれば。教員、保護者、児童が互いに寄り添い、乗り切っていきたい」と強調している。
1週間で317件 昨年最多の3倍
厚生労働省によると、同一場所で2人以上の感染者が出た集団感染は24日までの1週間で、全国で883件あった。
内訳で最多は学校・教育施設等の317件で、全体の36%を占める。昨年、学校関係で最多だった94件(9月7~13日)と比べると、3倍以上に増えている。