厚木市、ランドセルにカメラを付けて通学路の安全点検
村松権主麿 (2022年2月22日付 東京新聞朝刊)
通学時の児童生徒の交通安全対策を強化するため、神奈川県厚木市は通学路になっている市道の歩道整備や道路拡幅、身に着けるカメラを使った児童目線での安全点検などを実施する。昨年6月、千葉県八街(やちまた)市で起きた下校時の児童5人の死傷事故を教訓に、2022年度当初予算案に新規の3事業で計約3億8000万円を計上した。
2022年度予算案 交通安全の対策強化
2億5420万円を計上した「通学路安全整備事業」では車の通行が多い幹線道路の歩道整備や、住宅前などの生活道路の4メートル以上への拡幅を実施。対象は16路線の計約3キロで、このうち生活道路8路線は年度内に拡幅工事を行う。残りの拡幅と歩道整備の対象となる各4路線は23年度以降の工事に向け、測量や設計の委託費を計上した。
事業費には拡幅に必要な土地購入費やブロック塀移設などの補償費のほか、玉川小近くにあり、老朽化した奨学橋のかけ替えに向けた測量などの委託費も含まれる。
子ども目線では見えにくくなるものは?
このほか、ガードレールや反射鏡、街路灯の設置、交差点のカラー化などをする「通学路安全対策事業」として1億3000万円を計上。従来、通学路の安全対策は、市道にある道路設備を交換・新設する事業の一環で行われ、2021年度の当初予算は市道全体で約7500万円だった。
実施場所は、市の関係部署と市教育委員会、県土木事務所、厚木署でつくる「通学路の安全対策協議会」が市立小中36校の要望などをもとに決める。
児童の目線も反映するため、集団で登下校する先頭と最後尾の児童がウエアラブルカメラをランドセルに着け、撮影した動画で安全点検をする事業も実施。23小学校に各2台を導入する253万円を計上した。厚木市教委の担当者は「協議会で動画を分析し、子どもの目線では周囲が見えにくくなる塀や看板、段差などを洗い出し、対策をしたい」と話している。
厚木市の2022年度予算案は一般会計が936億円(前年度比7.3%増)と2年連続で過去最高となった。