横浜市長公約の「市立中学校の全員給食」 自校方式は73%が困難 敷地に余裕なし

神谷円香 (2022年4月22日付 東京新聞朝刊)
 横浜市は21日、山中竹春市長が公約に掲げる市立中学校の「全員給食」の実施方式を巡り、校内に調理室を設ける「自校方式」と、近隣の小学校で調理して運ぶ「親子方式」では、半数以上の学校で実施が困難との検証結果を、市議会常任委員会で報告した。

小学校から運ぶ親子方式は83%が困難

 報告によると、全145校のうち、敷地に余裕がなく自校方式が困難なのは106校(73%)。小学校での調理に余裕がないなどの理由から親子方式が難しいのは120校(83%)。どちらも難しいのは84校(58%)となり、自校・親子方式のみでの実施は実現可能性が低いと分かった。

 これを踏まえ、横浜市は6カ所程度に調理施設を設ける給食センター方式、配達弁当を提供するデリバリー方式、自校・親子・センター方式を組み合わせるミックス方式について、施設整備費などを試算。それぞれ土地取得費を除き、センター方式は約418億円、ミックス方式は約433億円と見込んだ。デリバリー方式は事業者の工場誘致支援を除き約47億円とした。

 横浜市は昨年4月から、配達弁当を選択制のデリバリー型給食として希望者に提供している。山中市長はこの日の定例記者会見で「アレルギーなどさまざまな事情も考慮しつつ、学校給食法の趣旨を踏まえ、より多くの生徒に中学校給食を提供する」と述べ、「全員」には言及しなかった。