池尻小の校庭が狭くなっていいのか 旧池尻中の跡地利用案に保護者の大半反対 世田谷区に変更求める
山下葉月 (2022年7月23日付 東京新聞朝刊)
東京都の旧世田谷区立池尻中学校の校舎を舞台に、民間企業が廃校再生を目指した「世田谷ものづくり学校」が5月に閉鎖され、校舎や校庭の今後の活用を巡って住民と区の意見が割れている。昔から校庭は隣接する区立池尻小の児童らが利用してきた。世田谷区の計画では旧池尻中の校舎や校庭などを一体的に活用するため民間に貸すという。住民は校庭分割の見直しを求めている。
ものづくり学校閉鎖 一部貸し出しへ
ものづくり学校は2004年10月、廃校になった池尻中校舎に、デザインとものづくりの拠点として開校。株式会社ものづくり学校が借りて、創業間もないクリエーターらにオフィス提供をしてきたが、区内での開業が少なく、校舎耐震化も必要となり閉鎖された。
もともと池尻小の児童は旧池尻中の廃校前から両校合わせて計8200平方メートルを校庭として使ってきた。
一方、世田谷区は昨年2月、ものづくり学校の廃校に向け跡地利用コンセプトを策定。創業支援に、区内の既存産業も支援する複合機能を加えた施設にするため校舎や校庭、体育館を民間に貸し出す方針だ。キッチンカー事業や高齢者支援機器の事業などの支援も想定。区担当者は「テストマーケティングや機械の実験など一定の場は必要」とする。
保護者アンケートで3分の2が「反対」
同6月、住民説明会を行ったが、池尻小PTA側には校庭が狭くなることや教育環境の変化に不安が広がった。今年2月に区議会に出した陳情書では、校庭は児童やスポーツ団体の「共有財産」と指摘。先月、PTAが行った保護者アンケートでも3分の2が計画に反対した。野崎滋義PTA会長は「子どもたちが思い切り体を動かせなくなる」と話す。
要望を受け、世田谷区は池尻小が使える校庭を4800平方メートルから5700平方メートルに広くしたが、これ以上の変更はなく、運営者は募集中だ。保坂展人区長は「双方の思いが達成できるよう話し合いは続ける。現状の区切りを前提に使い方を工夫したい」としている。