都立高の「男女別定員制」2024年度入試から廃止へ 不平等がようやく解消、23年度入試は緩和策を拡大
男女別の理由「私立高の男子枠が少ない」
この日の都教委の定例会で、都教委の事務局に当たる教育庁の担当者が「2割に広げた結果を分析し、男女合同選抜に早期に移行したい」と説明。その上で、全面移行を早くて2024年度入試とする案を示した。
委員から異論はなく、新井紀子委員は「女子が増えると推測される高校では、トイレや着替え部屋などを整備してほしい」と求めた。
教育庁によると、男女別定員を維持する目的は、私立高の男子枠が女子より少ないためで、公立高で男子の進学先を確保することにある。男女別定員を2023年度から完全撤廃できないのは、男子の進学先の計画に大きく影響を与える可能性があるからとしている。
今年2月の緩和策 定員の1割を得点順に
都立高入試では、毎年、女子の合格ラインが男子より高くなり、女子の合格が厳しい傾向があった。そこで、都教委は今年2月の入試から定員の1割に限り、性別を問わず得点順で合格にする緩和策を導入した。
緩和策を検証した結果、男女別定員でなければ、女子は284人が、男子は15人が希望校に合格するはずだったと判明している。都教委は性別不問の枠を2割に広げた場合、この数は女子が90人、男子が5人に減ると試算している。
教育庁の担当者は「合格に必要な点数は女子の方が高い傾向にあるため、男女別定員がなければ男子の合格者は減るだろう」と指摘した。
現場の教諭の声「混乱のないように進めて」「本来は来年度から廃止すべき」
都立高の男女別定員制が早ければ2024年度入試から撤廃されることに、制度を「不平等」と訴えてきた現場の教諭らからは歓迎の声が上がった。
昨夏、署名と要望書を小池百合子知事らに宛てて提出した市民グループ「東京ジェンダー平等研究会」の都立高教諭は「考えられる最速のスピードで撤廃に向かっていると思う」と評価。「受験生や進路指導の教諭に混乱のないよう進めてほしい」と話す。
今年4月に就任した浜佳葉子(かよこ)教育長は、東京新聞のインタビューで「世の流れを考えれば、入学定員を男女別にする必要はない」と廃止の意向を示していた。この教諭は「教育長の意向もあったのでは」と推測した。
男女別定員制は、性差別だと指摘してきた「都立高校入試のジェンダー平等を求める弁護士の会」の佐藤倫子(みちこ)弁護士は、廃止時期が示されたことを歓迎しつつ「性別という属性で志望校に入れないという悔しい思いをする受験生は来年度入試でも出る。本来なら来年度から廃止すべきだ」と話した。
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