川崎市HPに「子どもの思いを聞く」専用ページ 市政運営の参考にします
安藤恭子 (2022年12月2日付 東京新聞朝刊)
川崎市は1日、子どもが市政に自分の思いを伝えることができるよう、市ホームページ(HP)に「子ども・若者の”声”募集箱~君のつぶやきをきかせて~」を設けた。市内在住・在学の小学4年生から18歳までの約11万人を対象とし、市立学校で使われている1人1台端末からも投稿できる。届いた意見は市政運営の参考にするという。
市は取り組み状況を掲載して「返答」
募集するのは、川崎のまちを良くするためのアイデアや、普段川崎市に思っていること、市長に聞いてもらいたいことなど。「ボール遊びができる場所がほしい」「テスト前に図書館以外に勉強できる場所がほしい」といった声を想定し、とりまとめた意見は市議会とも情報共有する。
個別回答はしないが、市の考えや現状の取り組みをHPに載せて、子どもたちへの返答とする。いじめや家族の悩みなどの直接的な相談には、24時間子供SOS電話相談=電話044(522)3293=など他の連絡先を案内。来年5月まで試行した上で、同9月から本格実施する。
川崎市は2000年、全国に先駆けて「子どもの権利に関する条例」を制定。子どもの意見表明や意見が尊重されることを15条の「参加する権利」で定める。これまでも「子ども会議」などの場を設けてきたが、来春のこども基本法施行も見据え「ネットを活用し、よりハードルを低くしてより広く意見を募りたい」(こども未来局)と募集箱の開設を決めた。
「市長への手紙」子どもの声は少数
川崎市教育委員会が今年行ったアンケートで「市に意見を言おうと思ったときに伝える方法があるか」との問いに高校生の4割超が「ない」「たぶんない」と答え、「伝える方法がわからない」「具体的な話し合いは大人だけで行うと思う」が理由の多くを占めた。近い仕組みに「市長への手紙」があるが、10代以下からの手紙は全体の1~2%程度にすぎないという。
こども未来局の北川直子企画課長は、「子どもに特化したHPとすることで、どんな意見が届くのか知りたいし、学校にも子どもの意見表明への協力を求めている」と話した。