校庭に釘やフック500本、転んだ児童が大けが ラインを引く目印のため打ち込み放置か 杉並区立小
体育の授業中 10数針縫うけが
東京都杉並区の区立荻窪小学校で4月、校庭で体育の授業中に児童が転倒し、地面から突き出ていた釘(くぎ)で左膝付近に10数針を縫う裂傷を負っていたことが分かった。学校が校庭を調べたところ、500本を超える釘やかぎ型のフックが埋まっていた。放置は長期にわたるとみられる。同校は「運動会などでラインの目印となるマーカーを固定する際に打ち込んだまま、取り除かずに残った可能性が高い」としている。
他校や子供園でも点検 複数見つかる
杉並区教育委員会は、区内の全区立小中学校と子供園に点検を要請。同様に釘などが見つかったとの報告が複数あったという。
荻窪小が保護者に配布した資料などによると、4月13日、体育の授業で鬼ごっこをしていた児童が転倒。約5センチの裂傷で10数針を縫うけがを負った。児童が倒れた場所には長さ約12.5センチの釘が刺さっており、頭部数ミリが地面から浮いている状態だった。
その後、教員らが校庭を調べたところ、釘やかぎ型のフックが次々と見つかった。業者による金属探知機も使い、5月10日現在、計544本が発見されている。多くは腐食していたが、比較的新しいものもあったという。地中に埋まっているケースもあったが、地表の砂を払うと頭部が見えるものもあった。
運動会や体育 打ち込みは約10年か
荻窪小では、運動会や体育の授業で、ラインを引く目印としてマーカーなどを固定するために釘などを打ち込むことがある。使用後に放置した可能性があるという。学校側は保護者への説明で「事故に関して『人災』と捉えられて、仕方のない状況」としている。一時、校庭は使用中止となったが、現在は再開している。学校は打ち込み式のマーカーをやめ、今後も調査と除去を続ける。
荻窪小は1951年開校。2009年に現在の校舎に移転した。当初、校庭は天然芝だったが、養生ができず間もなく土に変えた。こうした経緯から、釘の大半は約10年の間に打たれたとみられる。
校長「点検不十分、申し訳なく思う」
10日、本紙の取材に応じた西脇裕高校長は「除去しなかったことが重なったと考えるしかない。安全点検の不十分さを申し訳なく思っている」と話した。教委事務局の担当者も「大きな問題だと思っている」との認識を示した。
荻窪小の保護者は「針の山の上で子どもが遊んでいるのと同じ状態だ。使った道具を片付けるのは学校で教える常識だし、危険な物ならなおさら。大きなけがをした子がいるのに、対外的に発表しないことにも首をかしげる」と話している。
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