さいたま市PTA協議会で使途不明金1000万円超 発覚から3カ月説明なし、複数の学校が退会へ
会員1人につき50円の会費徴収
協議会は市内の小中学校など約160校のPTAが加盟する任意の社会教育関係団体。団体保険の窓口や全国のPTA組織との情報交換会、各種役員研修などを開いていて、加盟各校のPTAから1人50円の会費を集めつつ、市教育委員会からは年間165万円の補助金を受けている。
だが近年、任意団体のPTAを巡っては、共働き世帯の増加などで活動参加が重荷となる保護者が増え、活動のスリム化や入退会の自由が議論になることが多い。そんな背景も協議会離れを加速させている。
さいたま市立栄和小PTAのホームページ。「さいたま市PTA協議会からの脱会」と題した4月の連絡にはこんな内容が書き込まれた。「このコンプライアンス違反は、その事件以上に、事件を生んだ組織構造と体質に大きな問題があると考えます」。強い口調で協議会を非難するとともに、保護者の負担軽減なども退会理由に挙げる。学校関係者によると、退会の動きは複数の学校に広がっていて、栄和小と同様に協議会への不信や活動のスリム化を理由とする学校が多いという。
「調査中」を理由に取材にも応じず
東京新聞は協議会側に再三取材を申し入れてきたが、「調査中」を理由に応じていない。「さいたま市PTA協議会」として5月に届いたメールには、「委員会等の報告に基づき適時に状況等の開示を行う」としつつ、退会の動きへの対応については「任意団体であることを踏まえれば入退会は自由と考えるが、(中略)まずはしっかり調査をし、調査結果をきちんと説明する」などとつづるにとどまった。
協議会のHPには第三者委員会の調査期間を「3カ月程度」としながらも、状況によっては延長する可能性に触れており、総会では調査の見通しや今後の実施事業の見直しなどを巡っても議論となりそうだ。
さいたま市PTA協議会の使途不明金問題
3月にさいたま市PTA協議会が問題の存在を報道発表した。ホームページなどによると、会計顧問が根拠のない支出を指摘し、詳細を確認すると、協議会の保険口座から2019~2022年度に「防災事業委託費」として各年度ごとに143万~485万円、計1079万円が保険代理店に支払われていた。代理店側は「イベント実施等の預かり金だった」と説明し、2月中に全額を返金。協議会は5月に弁護士と税理士による第三者の調査委員会を設置し、事実関係の調査を進めている。
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