学童保育の「朝のサービス残業」江戸川区教委が見直し 報道を受け、過去にさかのぼって支給へ
小形佳奈 (2023年8月3日付 東京新聞朝刊)
時間外勤務手当の支給状況を調査
東京都江戸川区などで夏休みに児童を預かる学童保育の朝の開所準備が職員の「サービス残業」状態になっている問題で、江戸川区教育委員会は全職員に対し時間外勤務手当の支給状況を確認する調査に乗り出す。東京新聞が7月31日に「ニュースあなた発」の記事でこの問題を報じたことを受けた。
過去3年の全職員約900人
江戸川区教委の8月1日の発表によると、対象は、区立小学校全66校で放課後や学校休業日に児童を預かる「すくすくスクール」に過去3年間で勤務した全職員約900人。勤務時間前の準備作業などが必要な業務と判断された場合、過去にさかのぼり時間外勤務手当を支給する。
もともと、長期休業期間や土曜日の1日保育のケースで、管理監督者に申し出た上で必要な業務のために勤務時間前に出勤した職員には、時間外勤務手当を支給する決まりになっていた。申し出ずに早出した職員には、手当が支給されていなかった。
申し出がなかった職員にも
ニュースあなた発では、すくすくスクールで働く非常勤職員から「換気や消毒、部屋の安全確認など開所準備のために早めに出勤しても手当が支給されない」と情報が寄せられ、東京23区の多くの区でこうした「サービス残業」状態が起きていると報じた。
この職員にあらためて話を聞くと、申し出ていなかったといい「朝の準備は認められないと思ったので、あきらめていた」とする。
江戸川区教委は、申し出をしなかった職員でも業務に該当すれば、手当を支給する方針だ。
学童保育とは
共働きやひとり親家庭などの小学生を放課後や夏休みに学校内や児童館などで預かる制度。2023年5月1日時点の速報値で約144万5000人の児童が利用する。江戸川区は区独自の事業「すくすくスクール」として実施し、7月1日現在で6317人が登録する。